このところ、妙に食指が動かされるDVDが多数、発売されている。
グレン・フォードやランドルフ・スコットといった、どちらかというとB級に分類され、ほとんど未見だった西部劇が一挙に20作近く発売された。
また、未公開作で幻の名作と呼ばれていたオードリー・ヘップバーンの初出演作にして、アレック・ギネス主演のブラック・コメディ「ラベンダー・ヒル・モッブ」(1951)、名優ロバート・デュヴァルが、落ち目のカントリー・ウェスタンの歌手役でアカデミー主演男優賞を獲った「テンダー・マーシー」(1982)など多岐に渡る。ただ、どれも廉価版ではないので、全部買えないのが残念。
中でも、大のご贔屓のビリー・ワイルダーのここでも紹介した「熱砂の秘密」(1943)と、彼の未公開作2本がでたのには驚いた。
NYにうんざりした若い女性が尻尾を丸めて故郷に帰ろうとするが、電車賃が足りないので、12歳の少女に化けて乗車。そして上流志向の婚約者がいる真面目な士官学校の教官と知り合って・・・というデビュー作の「少佐と少女」(1942)は洒落たコメディで、処女作にして流石ワイルダーと唸った。
もう一本は終戦直後のベルリンの復興状況を視察に来た堅物女議員が、多くの米兵とドイツ女性がよろしくやっているのに憤慨し、告発するために協力を依頼した将校が、実はドイツ女を囲っていて・・・という「異国の出来事」(1948)。囲われているドイツ女を演じるのはマレーネ・デートリッヒ。彼女の設定が後の傑作「情婦」(1957)に酷似しているのに驚いた。本作を見てから「情婦」を見たら、印象が一変したろうと感じた。