大列車作戦 – THE TRAIN(1964年)

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スタッフ

監督:ジョン・フランケンハイマー
製作:ジュールス・ブリッケン
脚本:フランクリン・コーン、フランク・ディヴィス
撮影:ジャン・トゥールニエール、ウォルター・ワティス
音楽:モーリス・ジャール

キャスト

ラビッシュ / バート・ランカスター
ヴァルトハイム大佐 / ポール・スコフィールド
クリスチ-ヌ / ジャンヌ・モロー
ヴィラール女史 / シュザンヌ・フロン
ブル親爺 / ミシェル・シモン
ヘーレン少佐 /  ウルフガング・プライス
ディドン /  アルベール・レミー
ペスケ /  シャルル・・ミロ
スピネ /  ポール・ボニファ

日本公開: 1964年
製作国: アメリカ J・ブリッケン・プロ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

またもや列車つながり。ダイナミックさに関しては天下一品といえる作品。何故なら、やっと扱う大好きなジョン・フランケンハイマー監督作だから。

1944年8月のパリ。1500日以上に及ぶドイツ軍の占領も連合軍の快進撃によって解放を目前に控えていた。

そんなある晩、ジュ・ド・ボーム美術館にドイツ軍のヴァルドハイム大佐(ポール・スコフィールド)が現れた。館長のヴィラール女史(シュザンヌ・フロン)は、所蔵の美術品が無事保護されたのは、大佐の芸術に対する造旨の深さだと感謝した。しかし、大佐は感謝はいらぬ、と引き連れてきた兵士たちに美術品の梱包を命じた。ここにあるセザンヌ、ゴーギャン、ピカソなどの作品を根こそぎドイツに運ぶと言うのだ。驚嘆する館長の前で、輸送列車を最優先で手配しろと命じる大佐。困惑した担当者は将軍に連絡する。当然、連合軍の急進攻で武器車両や兵士の撤退が絶対であるという将軍に、美術品は売れば大金になると一歩も譲らない大佐。

館長は急いでレジスタンスで操車係長のラビッシュ(バート・ランカスター)に、助けを乞う。しかし、ラビッシュは不可能だと断る。色々な妨害工作で仲間たちが次々と死に、今は三人しか残っていないし、それでもできるだけのことをし続け、疲労困憊であるから、と。

「美術品はフランスの宝です。否や、世界の宝です」そう続ける館長。「奪還してくれとは頼みません。2、3日遅らせてくれるだけで結構です。連合軍はすぐそこまで来ていますから」熱意に打たれるラビッシュ。

しかし、大佐は嘘までついて列車を手配した。もはや一刻の猶予もない。ラビッシュは慌てて、策を講じようとするが・・・

ダイナミックにして壮大なスケールで描く異種戦争映画の傑作。

国宝の美術品流出を阻止するべく活躍する鉄道員たちの命を懸けた闘い。当然、一筋縄ではいかない展開が待ち受けている。

当初は列車の爆破だったできるが、遅延させるだけは無理だと断る主人公。日々列車の運行に砕身しながら、妨害活動をも行っているからだ。というよりは、美術品に対する造詣がない。たかが絵のために命を落とす必要はないと思っているのだ。しかし、決して知的レベルの高くない仲間たちが、説得に当たる。

ここに本作の主題がはっきりと浮かび上がる。美術品と人間、どちらの方が尊いのか。

やがて、主人公は不本意ながらも同意する。それからの展開が抜群に面白い。単に列車を遅らせるだけではない。様々なサボタージュが繰り広げられ、犠牲者も続出していくのだ。その都度、眼を見張るシークエンスで綴られていく。

敵の司令官は高等教育を受け、異常なまでに美術品に確執する男。売れば金になるといいながら、自分の審美眼の確かさに酔い、きっとドイツでも売却は念頭にないと思わせる。物語が進行するにつれ、彼のゆがんだ性格が浮かび上がり、ラストまで眼が離せない。

演じるイギリス出身のポール・スコフィールドが素晴らしい。当然、主役のバート・ランカスターもスタントを使わずに肉体派俳優の面目躍如で惚れ惚れする演技だ。他の出演陣も、宿屋の女主人を演じるジャンヌ・モローや老機関士のミッシェル・シモンなど、登場時間は少なくとも、適材適所で印象が強い。

監督や役者の他にも、モーリス・ジャールの躍動感溢れる音楽もいつまでも耳に残る。画面が常にドリー(移動)するカメラワークも流麗だし、画面の奥までピントが合っているパンフォーカスによる奥行き感のあるシーンの連続には身震いがした。また、遠景から人物のアップにいたるまで、後方で常に動き回る多数のエキストラを映しだす臨場感溢れる画面構成に陶酔する。そういったワンカット、ワンカットが織り成すリズム感溢れる編集にも吸い寄せられた。

しかし、何よりも凄いのは列車のシーンは、一切、ミニチュアを使わず、すべてホンモノを使用していること。ゆえに重厚感溢れる迫力は傑出している。特に2500キロの火薬を使用した操車場の爆撃シーン、列車同士の衝突や脱線など、実際にカメラ9台を破壊したほど。迫り来る迫力はCGの比ではない。

白黒作品ながら、劇場で見たときの興奮は忘れられない。まさにフランケンハイマーの面目躍如である。当初は、「奇跡の人」(1962)や「俺たちに明日はない」(1969)のアーサー・ペン監督で撮影が開始されたが、10日で降板したそうだ。ペン監督だったらまったく違うティストの作品に仕上がっていただろう。しかし、監督交代の後も撮影は困難を極め、当初3ヶ月の撮影期間が延びに延び、結局、一年以上もかかったという。

現在はDVDが発売されているので、再見は簡単だろう。確かに、テレビ画面では、いささか迫力に劣るとは思うが、ダイナミックな展開と自分の仕事に命を懸ける人間たちの心意気に酔える作品である。

余談雑談 2007年9月8日
このところ、妙に食指が動かされるDVDが多数、発売されている。 グレン・フォードやランドルフ・スコットといった、どちらかというとB級に分類され、ほとんど未見だった西部劇が一挙に20作近く発売された。 また、未公開作で幻の名作と呼ばれていたオ