来週22日から公開の「さらばベルリン」を試写で見た。ジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグの仲良しコンビで作った終戦直後のベルリンでのオハナシ。
コメディ色の強い「オーシャンズ13」と違い、1940年代のフィルム・ノワール作品へのオマージュである。特に「第三の男」と「カサブランカ」にかなり肩入れした作劇。白黒画面に、わざと合成と解るショットやニュース映像を挿入し、これぞまさに40年代調と言いたいのだろう。
昔の白黒映画に慣れていない人には面白いかもしれないが、個人的には、消化不良で鼻白んだ。特に、先週この欄でDVDが発売されたと紹介したワイルダーの「異国の出来事」や「第三の男」など、リアルに戦争を体験した人間たちが作った当時の作品と見比べると格の違いが一目瞭然。
それはすぐ前まで行われていた戦争に対するリアル感と戦勝国ゆえの贖罪感がまったく感じられなかったから。リリシズムを排除し、ロマンチシズムで作ったと言われれば致しかたないのだが、敢えてそういう演出をしたのなら、個人的には相容れない監督だと感じた。