余談雑談 2007年12月1日

マット・ディモンの「ボーン・アルティメイタム」を見た。記憶をなくした元CIAエージェントの自分探しシリーズの第三弾。

前二作とも見ていたので期待していた。結果、一作目より好きだった二作目と同じティストで、珍しく期待を裏切らない力作で感心した。

アクション・シーンは短いカッティングで目まぐるしく変えるという演出で緊張感を生みだし、静かなシーンでは手持ちカメラで微妙な揺れをだして不安定感を増幅させる。ありえない飛び道具は一切なく、不意に襲われるとそこいらにある分厚い本やタオルを凶器にして応戦。一瞬、チラリと見ただけで的確な判断を下し、ベストな方法を反射的に考える。それを決してマッチョでないマット・ディモンがリアリティ抜群に演じている。

少し複雑なストーリィ展開だが、説明的でない画面構成で解りやすく描いていく手法に好感が持てた。ただし、前二作を見ていないとストーリィが理解できないのは事実。大変かもしれないが、鑑賞する場合は事前に前二作を見てからにするように。

それにしても、二作目と同じポール・グリーングラス監督の力量は見事。「ユナイテッド93」(2006)でも感心したが、昨今、最も注目でき、今後が期待できる監督だ。いずれ歴史が証明するだろうが、その映像センスでアクション映画の流れを変えた監督と位置付けられよう。

映画ファンとしては、そういった転換期的監督や作品に出会えるのは至福の歓びだ。

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