関西の某有名料理店が、客の食べ残しを再度、別な客に出したとして話題になっている。食品衛生上は法に抵触しないが、モラルの問題だとか各マスコミやコメンティターが一斉に非難している。
しかし、もしかしたら料理屋サイドからすれば『もったいないの精神』からきているのかもしれないなと思った。
食べたくても食べられなかった時代があった。自分も小さかった頃、ご飯を一粒残しても親に怒られたし、食べ物を地面に落としても、サッと拾って、ゴミを払って食べた記憶がある。だが、現代は『ひもじい思い』をすることもないし、食べ残すこともモラル的に問題はないようだ。
一体、何がそんなに非難されるのかとも思ったが、確かに、自らを『高級』と上から目線で謳い、一人ウン万円も取りながら、黙って違う客に出すのは失礼極まりないなと貧乏人的発想で納得した。
でも、ふと考えた。路地裏のひとり5~600円の定食屋で同じことをしても、やはり『モラルがない』と糾弾されるのだろうか。つい先立て、沖縄の食堂で、見知らぬ地元の老婆から、もう食べられないから、アンタ食べんさー、と自分の残したおかずをくれたことを思い出した。個人的にはまったく不快感はなかったどころか、逆に感動したほどだ。
だまし討ちと違い、食べ残しと知っているから問題ないのだろうか。それとも現代日本人として、自分にモラルが欠落しているからなのだろうか。