超高層プロフェッショナル – STEEL(1979年)

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スタッフ

監督:スティーヴ・カーヴァー
製作:ピ-ター・ディヴィス、ウィリアム・パンサー
脚本:ライ・チャップマン
撮影:ロジャー・シャーマン
音楽:ミッシェル・コロンビエ

キャスト

キャットン / リー・メジャース
キャス / ジェニファー・オニール
モーラン / アート・カーニー
キャシディ / ジョージ・ケネディ
エディ / ハリス・ユーリン
ハリー / レドモンド・グリーソン
ヴァレンチノ / ラリー・カイザー
タンク / アルバート・サルミ
ケリン / R・G・アームストロング

日本公開: 1979年
製作国: アメリカ ディヴィス&パンサー・プロ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

大のご贔屓役者のジョージ・ケネディ。パニック・アクション映画には頼りになるタフガイだった時期に出演した作品。ある意味、驚いた。

アメリカ、NY近郊。町一番の高さになるビルの鉄骨建設を請け負っているキャシディ(ジョージ・ケネディ)は、陣頭指揮を執るが大好きな硬骨漢だ。ある日、彼は自ら建設中の鉄骨を溶接する仕事についていたが、ボンベが爆発し、その爆風で吹き飛ばされて転落死してしまう。

彼の葬儀が行われ、喪主となったひとり娘のキャス(ジェニファー・オニール)は、父の意思を継いで工事を継続すると宣言する。しかし、キャシディの弟で鉄骨搬送を仕切っているエディ(ハリス・ユーリン)は、期日までに完成できなければ、以後一切の仕事を自分で請けることになっていたので、何とか思い止まらせようとする。

すでに工期は遅れ、完成は危ぶまれていた。キャシディの親友で鉄骨工組合のチーフ、モーラン(アート・カーニー)も、現状では不可能だとキャスに告げる。それでも、何とか父の後を継ぎたいという彼女に、モーランはつぶやく。キャットン(リー・メジャース)のチームがいればな、と。かつて事故を起こし、現在は長距離トラックの運転手をしているというのだ。

キャスは何とか仕事に復帰してもらおうとキャットンに遥々会いに行くが・・・

荒くれ鉄骨工に主眼を置いた着想が面白いB級映画の快作。

これまでにありそうでなかった題材だ。どの業界にもプロはいる。地上150メートルで風が吹く中、命綱なしで幅50センチほどの鉄骨の上を軽業師のように歩き、溶接して組み上げる。考えれば、映画的興奮をかき立てやすい題材である。

当然、そういった現場で働く男たちは荒くれ者が多く、酒や女が大好きというカウボーイの流れを汲む奴らだ。汗臭く、教養は高くないが、命がけという職業にプロ意識を持っている。

しかし、時代は流れ、彼らの権利向上のため組合制度が確立され、完全分業制で就業規則も労働者優先。だから、適当に仕事をしてさえいれば、他の奴らや会社の意向など関係ないと思う人間たちが多くなっているという現実。その上、利権を狙う人間は工期を遅らせようと妨害活動まで始める。中々面白い設定だ。

そこに我がヒーロー、ジョージ・ケネディの登場である。運転手を後ろに乗せ、自らリムジンを豪快に飛ばし、建設現場に颯爽と登場。組合員同士のいざこざを軽くいなして、黙って俺について来いとばかりに最上階で工事を始める。

さすがケネディ、彼に任せれば安心と、当時のパニック映画ファンがニヤリとするのも束の間、巻頭5分で退場となる。いやはや、これには驚いた。

それから主役登場へと繋がって行くのだが、そこは完全に黒沢明の「七人の侍」(1954)の世界だ。引退し、気ままにトラック運転手をしている男。当初こそ断るが、復帰を決めて彼が現場にやってくると周りの作業員たちの目の色が変わる。更に、彼はイギリス人で爆破を得意とする男や、女に手が早いが仕事も早いイタリア人、変わり者のクレーン・オペレーターなど、かつての仲間を集める。

このあたり展開はありがちとはいえ、安心して楽しめる。後はただ、工期までに鉄骨を組み上げるという展開なのだが、ストや妨害という要素を盛り込み、期日までに完成できなそうにないというサスペンスで盛り上げていく。

何といっても鉄筋一本の上という不安定さと恐怖感を増幅させる演出は多少大雑把とはいえ、却って粗野で単純な荒くれ者たちというイメージに合致するので、見るものは鳥肌が立っていく。

その上、主役は皆に隠しているが高所恐怖症という設定も更なるサスペンスを生みだしていく。事故死する者や怪我を負う者もでて、妨害工作で鉄骨が届かなくなり、もはやこれまでという時の荒業はB級こその醍醐味といえよう。

こういった題材でも楽しめる娯楽作になるのだとヘンに嬉しくなる作品。

余談雑談 2008年6月7日
「枯れ専」なる言葉を知った。5~60代の枯れたオジサンが好きな女性のことを指すという。 そういえば、「チョイ悪オヤジ」という言葉はあまり耳にしなくなった。飽きっぽい時代だ、次から次へと流行を作らなければならない人々も大変だろう。 しかし、今