プロフェッショナル – THE PROFESSIONALS(1966年)

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スタッフ

監督:リチャード・ブルックス
製作:フランク・オルーク
脚本:リチャード・ブルックス
撮影:コンラッド・ホール
音楽:モーリス・ジャール

キャスト

ファーダン / リー・マーヴィン
ドルワース / バート・ランカスター
エーレンガード / ロバート・ライアン
ラザ / ジャック・パランス
マリア / クラウディア・カルディナーレ
ジェイク / ウッディ・ストロード
グランド / ラルフ・ベラミー
チキータ / マリー・ゴメス
オルティガ / ジョー・デ・サンティス

日本公開: 1966年
製作国: アメリカ パックス・エンタープライズ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

各分野のエキスパートが集まって活躍する作品繋がり。タイトルもそのものズバリだ。しかし、ティストは単純ではない。

20世紀初頭のアメリカとメキシコ国境近く。大金持ちのグラント(ラルフ・ベラミー)は、最愛のメキシコ人妻マリア(クラウディア・カルディナーレ)を誘拐され、身代金10万ドルを要求された。

そんな彼は妻を奪還すべくプロを雇う。白羽の矢が立ったのは元騎兵隊員で銃器のエキスパート、ファーダン(リー・マーヴィン)、馬の扱いにかけては天下一品のエーレンガード(ロバート・ライアン)、弓矢の名手で追跡のプロの黒人ジェイク(ウッディ・ストロード)。商才に長けたグラントは前金で1000ドル、無事、連れ戻したら9000ドルを報酬として支払うと告げた。するとファーダンは、ダイナマイトのプロが必要だと答えた。それには自分の旧友であるドルワース(バート・ランカスター)が最適だと。しかし、彼は人妻を寝取った罪で留置所に入っていた。

釈放されたドルワースはファーダンに感謝の辞を述べた。しかし、仕事の内容を聞いて驚く。何と誘拐犯はかつて一緒にメキシコで革命軍の同志として戦ったラザ(ジャック・パランス)だったからだ。だが、ドルワースは金のために参加を決定する。

そんな四人は砂漠を挟んで、150キロの彼方にあるラザの砦を目指すが・・・

ありがちな設定をいささかひねった角度から描くウェスタン。

プロたちが数々の難関を突破して目的を遂行する。解りやすい設定だ。その上、四人のプロを演じる役者も適材適所で見事な面々。

タフさに関しては天下一品のリー・マーヴィンを筆頭に、「ベラクルス」(1954)同様、脇にまわって相手を食おうとするバート・ランカスター、いつも脇役ながら存在感たっぷりのロバート・ライアン、やはり脇役ながら、頼りになる相棒役の印象が強いウッディ・ストロード。それぞれが、あうんの呼吸でプロとしての対応を見せていく。

ただ、そういった中でいつも悪役の多いライアンが、人は簡単に殺すが、馬には異常な執着を見せ、心優しいソフトな役を演じているのが興味深い。当然、その優しさが皆の足を引っ張る展開を見せるのだが。このような、それまでの単純明快な西部劇と違う展開が数多く登場してくる。

監督のリチャード・ブルックスは小説家出身で、いくつかのアクションや戦争映画を作ってはいるが、単純なものは無く、どちらかというと「熱いトタン屋根の猫」(1958)や「エルマー・ガントリー」(1960)といった文芸作を得意とする監督だ。

だから、本作も単純な救出劇ではない。根底に流れるのは負け犬たちの心意気である。アメリカ人でありながらメキシコの独立戦争に参加した経歴を持つ主役二人は、誘拐犯であるメキシコ人義賊とはかつての仲間だった。

見て行くにつれ、文豪ヘミングウェイがスペインの独立戦争の反体制側に参加したことにダブっていった。終盤、かつての仲間だったランカスターと義賊のパランスが昔話をするシーンがでてくる。そこでの会話は革命に命を懸け敗北し、あきらめた者と、しぶとく活動を続ける人間の価値観の違いが浮かび上がる。

製作当時、ヴェトナム戦争が起き、世界で革命運動が盛んになり、各国の映画界でも新風が巻き起こっていた時期。そこに文芸作が得意の作家がアメリカ映画の大定番だった西部劇を撮る。しかも作劇は機を衒うことなく正統的だ。ゆえに異色作と相成っている。

だが、反対に単純明快な従来のウェスタンでもなく、かつ、鋭い毒を含んだ作劇でもなく、中途半端と感じる人も多いかと思う。

それでも誇り高いプロとは何かを教えてくれる作品である。

余談雑談 2008年6月14日
最近、ここで映画関係者の訃報を扱うことが増えた気がする。今回もそうだ。 映画評論家にして監督の水野晴郎。ただ、今までの単に作品を通して知っていたハリウッドの映画人たちと違い、直接の思い出がある。自分もライターであるので、幾度となく彼を試写室