ミッドナイト ラン – MIDNIGHT RUN(1988年)

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スタッフ

監督: マーティン・ブレスト
製作: ウィリアム・S・ギルモア
脚本: ジョージ・ギャロ
撮影: ドナルド・ソーリン
音楽: ダニー・エルフマン

キャスト

ウォルシュ / ロバート・デ・ニーロ
マデューカス / チャールス・グローディン
モーズリ捜査官 / ヤフェット・コットー
ドフラー / ジョン・アシュトン
セラノ / デニス・ファリーナ
モスコーネ / ジョー・パントリアーノ
ダーヴォ / リチャード・フォロンジー
ジョーイ / ロバート・ミランダ
デニース / ダニエル・デュクロス

日本公開: 1988年
製作国: アメリカ ユニバーサル作品
配給: UIP


あらすじとコメント

今回もロバート・デ・ニーロ主演作。「賞金稼ぎ」という西部開拓時代から脈々と続く職業を哀愁とトボケタた味を絶妙にマッチさせて描いた作品。

アメリカ、ロサンジェルス。元シカゴ市警の刑事で、今は手配犯を捕まえては懸賞金を貰うバウンティ・ハンターをしているウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)。

彼は、いつも依頼を受けているマスコーニ保釈金融から、マフィアの裏金1500万ドルを横領し、慈善事業に寄付したマデューカス(チャールス・グローディン)を捜しだし、5日以内に捕まえて来いという依頼を受ける。通常ギャラは2万ドル程度だが、今回は破格の10万ドル。依頼を受け、独自の調査でマデューカスがNYにいることを突き止めると、早速、彼の元へ向かう。

家族と一緒に隠れていた彼は、今までの犯罪者たちとは違い、善良な小市民という印象なので驚くウォルシュ。こんな簡単な仕事で高額の報酬をもらえるのかと心の奥底で感じながら彼を連れ空港へ向かった。

しかし、ことはそんな単純ではなかった。当然、マフィアも顔に泥を塗られたと必死に彼を探し、更にはFBIもマフィアのボスを逮捕するためには彼の証言が必要だとマデューカスを追っていたのだ。だが、一番の問題は、何と善良な会計士に見えた彼自身だった。

高所恐怖症で閉所恐怖症だという彼を無理矢理飛行機に乗せたが、離陸寸前、彼が暴れ始めて・・・

往年のアメリカ映画の良き伝統を継ぐ娯楽作にして逸品。

さっぱり作られなくなった西部劇。その流れを汲み、やはりアメリカ映画特有のロード・ムーヴィーを加味し、コメディ要素を散りばめる。

自分のように昔の映画が好きで、そういった単純明快な筋運びにして心地良い作劇の作品が減ったと嘆いていた映画ファンが狂喜した作品。反対に昔の作品を知らない人たちも、リズミカルな進行にしてアクションあり、男の哀愁ありという設定に目新しさを感じ、乱舞した観客もいた。つまり、どんな映画ファンをも魅了した作品である。

ストーリィは、飛行機に乗らなかった二人がニュー・ヨークからロサンジェルスまでアメリカを横断することになるという話だが、大陸横断列車からバス、車と乗り継ぐ羽目になり、広大なアメリカの風景をバックにカンザス、アリゾナ、ニュー・メキシコといった名所案内を兼ねて進行していく。

ありきたりな展開じゃないかと思う御仁もいらっしゃるだろう。確かにその通り。

で、そこに魅力的なサブキャラが登場してくる。主役どころか、使えない部下にまでバカにされるFBI捜査官。ボスの命令に忠実だが、常にどこか抜けているマフィアの手下の二人組。絶妙のタイミングで全員をトラブルに巻き込む別な賞金稼ぎ。

何だ、こういう脇役だって、ありがちな設定だろと思うかもしれない。確かに一理ある。

それでも面白いのだ。特に白眉なのは主役の二人。上質な漫才を見ているような駆け引きを展開し、笑わせ、ホロリとさせる。

往年の正統的アメリカ映画の作りだ。息もつかせぬとか、CGでド派手にというのでもない。だが、だからこそ、すべてありがちな設定を万人受けするように作ることは難しい。

それをやってのけたのだ。監督のマーティン・ブレストの力量に脱帽した。

当時、役作りに入れ込み、精神的におかしい役ばかりを演じ、それが内容以上に強烈で、評価が真っ二つだったデ・ニーロが初めて選んだコメディ作品である。以後、「アナライズ・ユー」(1999)などで、コメディ演技を披露しているが、個人的には

未だに本作が、彼のコメディ演技でのベストだと思っている。

それは、彼と真っ向勝負したチャールス・グローディンの見事な演技力があってのことだと感じている。他にも、一番のコメディ・リリーフ役である別な賞金稼ぎを演じたジョン・アッシュトンも忘れ難い。全員が役を理解し、絶妙なアンサンブルを醸しだす。

銃撃戦やヘリコプターとのカー・チェイスなど、適度にツボを押さえた派手な展開から、別れた家族との人情話もあり、飽きることなく、そしてニコニコしながら楽しんで見られる。娯楽作とはこういった作品を指すのだという典型的好例であろう。

劇中に何度もでてくる『来世で会おう』の台詞が頭から離れず、見事なるエンディングを迎えたときに、胸にこみ上げる達成感と寂寥感に、極上のひとときを過したと満足感に浸れる傑作。

余談雑談 2008年9月27日
某大手レンタル店のDVD宅配サービスについて考えた。『ネットで予約、ポストで返却』というやつである。 一ヶ月貸出し枚数無制限で2000円ちょっと。地元の同店での毎週水曜日の半額サービス190円とどちらがトクかと。現在、毎週最低でも5本借りる