余談雑談 2008年10月11日

緒形拳が亡くなった。二週続けて、ここで訃報を扱うのは残念だ。

新国劇の出身で、映画では今村昌平監督作品を筆頭に、テレビ・ドラマにも数多く出演していた。侠骨溢れる男から、羽毛のようにソフトな役までこなす芸域の広い役者だったが、どこかお茶目な印象が強い。

最後に公の場に登場したのはCX系の連続ドラマ「風のガーデン」の記者会見だった。名脚本家の倉本聡最後の連ドラという触れ込み作品である。

その第一回放送を見たが、本来だったら緒形の役は寺尾聡あたりではなかったのだろうかと感じた。何故、緒形拳だったのだろうか。

そこで、ふと思い出した。個人的には倉本ドラマの最高傑作だと思っている「六羽のかもめ」が、大好きだった俳優の加東大介の遺作であったことを。加東は死ぬ数日前までドラマの収録に参加し、逝去した。

役者が自分の死を意識したとき、出演したくなるのが倉本ドラマなのか。それとも、製作サイドが余命を知っていて、オファーするのか。

どの道、どうにも倉本ドラマは、好きなヴェテラン俳優の死に場所というイメージがある。

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