今回の都々逸は、秋にちなんだもの。
「離れて坐って 鳴いてる秋の 虫を聞いてる恋もある」
これは不倫カップルのことを詠ったものだろう。別な場所で同じ月を同じ時間に見て、心を通わすてなものもあったが、それは離れ離れになった恋人だろう。
これはお互いが見える範囲にいるが、素知らぬ振りをするという日本人特有の独特の距離感を現していると思う。しかも寂しさを感じさせる秋である。
何とも風情があると感じるが、現在、都会に住む自分としては、虫の音が聞こえる場所は、既に人の気配のない場所だという印象がある。ということは、既に二人だけの闇の中。
そのときは虫の音どころじゃないのかも。