突撃隊 – HELL IS FOR HEROES !(1961年)

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スタッフ

監督: ドン・シーゲル
製作: ヘンリー・ブランク
脚本: ロバート・ピロッシュ、リチャード・カー
撮影: ハロルド・リップスティン
音楽: レナード・ローゼンマン

キャスト

リーズ / スティーヴ・マックィーン
コービィ / ボビー・ダーリン
パイク軍曹 / フェス・パーカー
ホーマー / ニック・アダムス
ラーキン軍曹 / ハリー・ガーディノ
ドリスコル / ボブ・ニューハート
ヘンショー / ジェームス・コバーン
コリンスキー / マイク・ケリン
ルーミス大尉 / ジョセフ・フーヴァー

日本公開: 1962年
製作国: アメリカ パラマウント作品
配給: パラマウント


あらすじとコメント

しばらくは最後の銀幕の大スタースティーヴ・マックィーンを扱っていきたい。今回はアウトロー的ヒーローとして活躍する戦争映画。

1944年第二次大戦末期。フランス、ベルギー国境近くの町モンティグニー。転戦続きで、疲労困憊している部隊内では戦争も大詰めで、いよいよ帰国できるという安堵感が漂っていた。

特に、ラーキン軍曹(ハリー・ガーディノ)率いる第二分隊には、戦利品を大量に持ち帰ろうと画策しているコービィ(ボビー・ダーリン)や、少し短絡的なヘンショー(ジェームス・コバーン)などがいた。そんな折、元々は軍曹だったが、飲酒運転による不祥事で一兵卒に降格になったリーズ(スティーヴ・マックィーン)が着任してくる。彼は寡黙にして粗野な感じで、分隊内に嫌な空気が流れてしまう。

そんなリーズを見て驚いたのは、かつての戦友で、今は直属の上官になるパイク一等軍曹(フェス・パーカー)だった。帰国ムードが蔓延している分隊で、自分の居場所は戦場しかないと思っていたリーズは、またもや軍規違反をして酒場に行ってしまう。そこへパイクがやって来る。「帰国情報はガセだ。俺たちは最前線へ送られる」

俄かに眼が輝くリーズ。

事実、その後、分隊に出動命令が下った。結果、彼らの部隊はドイツ軍の眼と鼻の先である場所に配置された。

しかし、上層部は作戦を変更し、彼らがいる第二分隊のみを残すと他の大部隊を移動させてしまって・・・

アウトローの兵士が英雄的な活躍をする戦争活劇。

何よりも主役のスティーヴ・マックィーンが格好イイ。そんな彼のメジャー初主演作である。

ただし、作り方はシンプルでこじんまりとしている。どこかTVシリーズの「コンバット」の一エピソードのような感じでもある。それは小さな分隊内の様々な兵士たちの性格描写に力点が置かれ、観客たちも分隊の一員として戦場に放り込まれているという錯覚に陥らせる作劇ゆえだ。

だが、監督はドン・シーゲルだ。アウトローだが、きっちりと自分の生き様を持ち、それを通すためには命をも賭す。そういった男気を描かせたら見事な監督である。

ここで扱った「刑事マディガン」(1967)、「突破口!」(1973)など、多くの作品を輩出している。しかし、一番有名なのは「ダーティー・ハリー」(1971)など、クリント・イーストウッドとの一連の作品だろう。事実イーストウッドは監督に心酔していた。

それを知って本作を見ると、主人公の設定が「ダーティー・ハリー」に似ていると感じることが出来るだろう。ストイックで矢鱈と銃を振り回し、上司の意見などどこ吹く風。

そういった役柄を演じるマックィーンのどこか陰影を持ち、誰にも心を許さない不器用な兵士像が惚れ惚れとするほど見事。

マシンガンに装着する弾倉三つをひとつに縛り、装填の手間を省くという独特のスタイル。かつて弾倉二つ付けをした映画はあったが、三本は本作が初めてだろう。

シャープさが際立つ白黒画面で、キラリと光る鋭い眼光。兵士全員が薄汚れ、伸びた無精ひげで見分けがつかなくなる中、一層その眼光が見事に浮かび上がる。

その切ないほど孤独な眼光。いかにも不良だった少年が、そのまま成長し、結局、はぐれ者にしかなれなかったという孤独。それゆえか、クールな視線で常に状況を見据え的確な対応をとろうとする。

だが、話はそんな単純には進行しない。やはり、彼もひとりの人間で、自分の思い込みと先走った行動で仲間に死傷者をだしてしまうと、意外と脆いという性格設定にしてある。

死と隣り合わせという膠着状態が続く狭い場所でのみ進行する内容に閉塞感を感じていると、やがてラストでそれまで溜まっていた鬱憤が一気に晴れる壮大な戦闘シーンになる。

しかし、戦争映画だ。そこに爽快感はない。地味だが、味のある演技を見せる脇役陣の好演も相まって、男の映画として昇華していく。

普通の映画では悪役にして脇役という設定の男を主役に据えて、こじんまりとしながらも、サスペンスフルな展開を見せ、やがてグイグイと引っ張られていく展開に言いようのない快感を覚えた。

やはり流石、大スターになっていく役者は違うと痛感させてくれる一品。

余談雑談 2008年11月15日
居住しているビルの改修工事が進行中。 古い配管を入替えることができず、電気、水道など、矢鱈と公共部分に新しい配管が着けられている。もう、こうなると『見てくれ』などと言ってられない状況だ。 外出の折、通りから見上げると、ビル全体に白いシートが