シンシナティ・キッド – THE CINCINNATI KID(1965年)

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スタッフ

監督:  ノーマン・ジェイソン
製作:  マーティン・ランソホフ
脚本:  リング・ラドナーJr、ラリー・サザーン
撮影:  フィリップ・ラズロップ
音楽:  ラロ・シフリン


キャスト

キッド / スティーヴ・マックィーン
ホッジス / エドワード・G・ロビンソン
メルバ / アン・マーグレット
シューター / カール・マルデン
クリスチャン / チューズディ・ウェルド
レディ・フィンガー / ジョーン・ブロンデル
スレード / リップ・トーン
ピッグ / ジャック・ウェストン
イエロー / キャブ・キャロウェイ

日本公開: 1965年
製作国: アメリカ フィルムウェイズ作品
配給: MGM


あらすじとコメント

今回のマックィーンは、単なるアクション俳優というイメージを払拭しようと、様々なタイプの映画にでていたころのもの。そういった中で好きな作品。

アメリカ、ニュー・オリンズ。そこを流れるミシシッピ川流域に点在する小さな賭場で名を馳せている若き一匹狼のギャンブラー、キッド(スティーヴ・マックィーン)。だが、そんな彼は現状に満足せず、いつかもっとデカイ賭けをしてみたいと願っていた。

ある日、マイアミにポーカーで長年名人位を持つホッジス(エドワード・G・ロビンソン)が、ふらりとやって来た。それを聞きつけたキッドは、その世界の長老格シューター(カール・マルデン)に、何とか勝負をさせて欲しいと頼み込んだ。元々、自身もギャンブラーだったシューターは、止めるように進言するが、血気盛んなキッドが承諾するはずもなかった。

そんな彼には、将来を心配する恋人のウェートレス、クリスチャン(チューズディ・ウェルド)がいたが、キッドは安定した生活など、まったく夢見ていなかった。

やがて、思い上がった若僧の噂を聞きつけたホッジスは、シューターに勝負を受けると言ってくる・・・

ギャンブルの世界で伸し上がりたいと願う青年が体験する人生の辛苦。

熱くたぎる感情を押し殺してクールに振舞う若い男。彼が命を賭すのがスタッド・ポーカー。

最初の一枚を伏せて配り、二枚目からはオープンにして配るというスタイル。その一枚ごとに掛け金を払っていくので金額がかさんでいく。最終的に五枚のカードで決着がつくが、最初の一枚だけが相手にわからないので、大逆転も有り得る。

『ポーカー・フェイス』という言葉があるが、それは隠されている手が何であるかが解らないため、相手の真意が読みにくいということから来ている言葉だ。

感情をださず、かつ、動揺も見せない。実にクールな演技が互いに必要なのだ。そういった勝負師根性が染み付いて、実生活でも喜怒哀楽の表現がなくなる。

しかし、伸し上がりたいという熱情は強く、落ち着いた生活をして子供が欲しいと願う恋人の心情を弄ぶようにクールに振舞おうとし続ける。そんな複雑な役をマックィーンが好演している。

他の登場人物もひと筋縄では行かない。主人公を慕うウェートレスの恋人以外、皆、裏社会の人間たちだ。血気盛んな若僧に興味を持つ妖艶な人妻。ギャンブルに身を投じ挫折した中年男。そして長年名人として君臨する老人。

特に、名人を演じたエドワード・G・ロビンソンの枯れた存在感が素晴しい。当初、この役は名優中の名優、スペンサー・トレーシーにオファーされたが、病気を理由に断った。トレーシーだったら、また別な品格があったと思うが、それでも悪役上がりのロビンソンの、いかにも裏社会で生き延びてきた風格も見事である。

また、往年のジャズ・ファンには、舞台となっているニュー・オリンズで活躍した、踊って唄うジャズマンのキャブ・キャロウェイが出演しているのも嬉しい。

当時、まだ若かった監督ノーマン・ジェイソンの演出上の甘さが、時々、鼻につくのが難点だが、ギャンブルにとり憑かれた人間たちの脆さとハッタリを増幅させるラロ・シフリンの音楽とレイ・チャールズの歌声が、暫くは耳から離れない。

更に、ヴェテラン演技陣の好演も相まって、若いからといって、あまり血気盛んになるなと教えてくれる作品。

余談雑談 2008年12月6日
まだまだ改装中の居住マンション。 今度は、壁面に取り付けてある冷暖房エアコン室外機の台座交換で問題が発生。台座と室外機を繋ぐネジが長年の風雨で錆付き、簡単に取り外せないことが判明したのだ。 で、翌日に電動カッターで台座ごと切り離し、屋上まで