不景気を反映しているのか、テレビの情報番組などで、安くて美味しい店を扱うことが多い。
そんな中、季節柄だろうが、ちょとした鍋料理を紹介するときは(二人前から)というテロップが入る。カップルや友人がいる人間は良いだろうが、自分のように、いつも『お一人様』はどうするのだろうか。
無理矢理、奢るから頼むと誰かを誘うのか。それとも、一人で行って、二人前お願いしますと言えば、ことは足りるのか。ああかこうかと逡巡するが、かといって、本当に行くわけではない。
実は、テレビや雑誌などの発信側で、その手の店の紹介を手掛ける知人たちがいる。取材には相当な苦労があると愚痴るが、決まって皆、同じことを言うので笑った。「仕事だから、ちゃんとやるが、自分で身銭切って行きたい店は、ほとんどと言っていいほどない」と。
『激安、おいしい店』の特集を見ながら、彼らを思い出しつつ、後ろ向きオジサンは、テレビでも紹介されない場末の酒場で安酒を呑むのが関の山だ。