プルーフ・オブ・ライフ – PROOF OF LIFE(2000年)

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スタッフ

監督: テイラー・ハックフォード
製作: スティーヴン・ルーサー、T・ギルロイ
脚本: トニー・ギルロイ
撮影: スラウォミール・イドゥジアク
音楽: ダニー・エルフマン

キャスト

アリス / メグ・ライアン
ソーン / ラッセル・クロウ
ボーマン / デヴィッド・モース
ジャニス / パメラ・リード
ディーノ / デヴィッド・カルーソ
テッド / アンソニー・ヒィーコ
ジェリー / スタンレー・アンダーソン
エリック / ゴットフリード・ジョン
マリア / ヴィッキー・ヘルナンデス

日本公開: 2001年
製作国: 米 キャッスルロック・エンタ作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

今回も政情不安な南米で誘拐された人間を救出に行く話。ただし、今回は素人集団でなくプロが活躍する作品。

南米テカラ。アメリカのクアド石油のダム建築技師ボーマン(デヴィッド・モース)は、会社に合併話があることを知った。もしかしたらダム建設が中止になるかもしれないと不安にかられる。

だが、妻アリス(メグ・ライアン)は、これを機にアメリカに帰ること願った。そんなアリスを説得しつつ、仕事を続けようと工事事務所に行く途中、ピーターは武装集団に、居合わせた多くの人たちと一緒に拉致されてしまう。

急遽、クアド石油が契約するロンドンのK&R(誘拐身代金)企業に籍を置くソーン(ラッセル・クロウ)が、交渉人として派遣される。彼は交渉のプロで、いくつもの人質解放を手掛けてきた。

そんなソーンはアリスに今回のことを『降りられないゲーム』と位置付け、相手は「テカラ開放同盟」であると断言する。完全に身代金目的なので、値段さえ折り合えばご主人は返ってくるとも付け加えた。

やがて相手から連絡が入リ、交渉が始まるが、クアド石油が吸収話で保険契約を打ち切ったとの連絡が来る。

本社はソーンに、交渉を打ち切り、直ちに帰国せよと命令してきて・・・

交渉のプロが個人的感情を優先するアクション作。

冷静沈着で戦闘能力に長け、少ない情報やデータから的確な行動を取る、実に頼りになる男。

本作を見たとき、映画よりも先に出版された浦沢直樹のコミック「マスター・キートン」を連想した。マンガは、人を殺し続ける「ゴルゴ13」とは違う形で、世界を動き回り、問題を解決するというスケール感溢れるものである。本作の主人公が元イギリスのSASという特殊部隊の出身というのも、マンガと同じ。

実は本作はそこからヒントを得たのではないかと疑ったほど。それほど酷似していた。

映画もコミックどちらの交渉人も冷静だが慈悲深い人間であり、合理的というか、冷徹というか、ビジネスとして人命を価値付ける巨大産業とは一線を画した存在として描かれる。

本作では、結局、個人的に仲間と救出に向かうのだが、そこに行く理由付けとして人妻との色恋が絡むというのは、いかにもハリウッドっぽいとも感じた。もし、個人的義憤なり、義理人情のために命を賭して出向くのであれば、東映の仁侠映画のような展開になるはず。

その東映的作劇では、間違いなくメインの主人公か、サブキャラの誰か死ぬという『カミカゼ』特攻のようなイメージを浮かべるだろう。そこに宗教観というか、死生観の違いがハッキリと浮かぶ。

あくまで、本作はハリウッド製の娯楽映画である。その証左のひとつとして、モデルはどうみてもコロンビアであるのだが、架空の国『テカラ』となっている。

世界公開を考えて製作されているので、当然の配慮なのだろう。つまり、世界中で誰もが感情移入しやすく、かつ、興行収益を上げるためにメグ・ライアンとラッセル・クロウという2大スターを起用する。そこに巨額の制作費を投じ、余計と思われる派手なアクション・シーンをも絡める。

こういった点で、同じアメリカ人のダム建築技師が誘拐され、救出に向かうという同じ展開を見せる、前回紹介した「ハリー奪還」(1986)との差異を感じた。

まるで、国内向けに愛国心を鼓舞するような「ハリー奪還」と、あくまでビッグ・ビジネスとしての海外公開を視野に入れた本作。

製作時期に14年の開きがある。二本とも見るとアメリカの歩んだ時代性を垣間見られるかもしれない。

余談雑談 2009年5月16日
ボチボチ飲み屋にも復帰している。 ところが、一ヶ月に及ぶ禁酒生活で、以前ほど飲めない。まあ、稼ぎもないので、あれもつまみたいとか、もう一杯飲もうかなといった余計な見栄を張らずに済むのは幸いだ。 そんな自分に合った飲み方は土日の昼間に安酒場に