スタッフ
監督: ケン・アナキン、アンドリュー・マートン、ヴェルンハルト・ヴィッキ
製作: ダリル・F・ザナック
脚本: コーネリアス・ライアン
撮影: ガイ・タバリー(ヘリコプター部分)
音楽: モーリス・ジャール
キャスト
バンダーボルト中佐 / ジョン・ウェイン
コータ准将 / ロバート・ミッチャム
ルーズベルト准将 / ヘンリー・フォンダ
ブルメントリット少将 / クルト・ユルゲンス
ロバット卿 / ピーター・ローフォード
英空軍大尉 / リチャード・バートン
ジャニース / イリナ・デミック
ルーラン神父 / ジャン・ルイ・バロー
フラナガン一等兵 / ショーン・コネリー
日本公開: 196?年
製作国: アメリカ D・F・ザナック・プロ作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
ショーン・コネリー出演の戦争モノ。今回は『その他多勢的』出演であるが、映画史上に残る一大戦争巨編。
1944年6月、ドイツ軍占領下のフランス。ドイツ西部軍司令官ロンメル元帥(ヴェルナー・ハインツ)は、連合軍のフランス侵攻が近いのを知っていたが、悪天候が続く気象条件下では上陸作戦はないと見て、妻の誕生日を祝うために帰国した。
一方、イギリスでは300万人近い兵士を待機させている連合軍の上層部たちが、上陸作戦をいつにするかで紛糾していた。一定の条件を考えると直近の6月4~6日のいずれか、もしくは7月まで待つかとの選択肢しかなかった。総司令官アイゼンハワーは、天候が幾分か回復する6月6日を実行日とする最終決定を下した。すぐに一斉に作戦決行が各隊に通達された。
先陣を切るのは空からの降下部隊で、バンダーボルト中佐(ジョン・ウェイン)が所属するアメリカ82空挺師団や、ハワード少佐(リチャード・トッド)率いるイギリス軍グライダー部隊などであった。しかも、上陸及び奇襲地点はドーヴァー海峡を挟んで、イギリスから一番遠いノルマンディー半島であった。
しかし、迎え撃つドイツ軍は、最短距離のカレーに防衛拠点を集中させ、ノルマンディーは、もぬけの殻状態だった・・・
第二次大戦の対独戦の勝敗を決定付けた侵攻作戦を描く戦争巨編。
その歴史的事実を、米、英、仏、独軍それぞれの立場から描いていく。今と違いCGなどは発達していなく、ミニチュア・ワークを基本とした『特撮』と呼ばれる技術が基本だった時代。どうしても迫力はでない。
そこでハリウッドきってのカリスマ・プロデューサーのダリル・F・ザナックは考えた。ホンモノで押し通そう、と。そして、金に糸目はつけないとも。
かくして、上陸シーンではノルマンディー海岸にホンモノの戦艦や駆逐艦22隻を集結させ、1600名ものフランス軍のホンモノの兵士たちに上陸をさせた。また、当時、実際にパラシュート部隊が降下したサント・メール・エグリース村では、本当に落下傘で兵士たちが降下し、下からは待ち受けていたドイツ軍が迎撃。更に、別な場所では13両編成の貨物列車を本当に爆破脱線させた。
他にも本作の尋常ならざる逸話は数多くある。
それを各国合わせて48人のスターたちに重要な役を演じさせ、監督も各国から四人招聘し、自国側の演出をさせる。結果、異例尽くめの超大作が誕生したのである。
その迫力たるや、流石に見事である。特に、空撮のシーンは見事のひと言。一回目は、海岸に上陸した連合軍兵士たちに機銃掃射を浴びせるドイツ軍戦闘機からの目線で映しだされる場面。
もうひとつは、フランス義勇軍部隊が、祖国フランスへ再上陸し、港町にあるドイツ軍が大砲で待ち受けるカジノを攻撃する、ワンカットの長回しによる静から動へと躍動感と緊張感溢れる場面。
こういった場面でこそ、相当な物量で大金を掛けていると痛感させられる。ただ、登場人物があまりにも多く、ほんのチョイ役程度の出演のスターも混じっている。また、ドキュメンタリー場面を一切使用せず、各国の監督が別撮りした場面を違和感なくつなぐ編集は大したもの。
映画史上の有名大作であるので何度も見たが、印象に残っているのはTV放映版である。
東京ではNET(現テレビ朝日)、日本テレビ、テレビ東京で放映されたが、すべて吹替えが違う。
まさか48名のスターの他、台詞がある登場人物たち全員を別な声優で吹き替えることは不可能なので、それぞれが数名の俳優をアテるというのが、テレビ朝日版とテレビ東京版。日本テレビ版は、考えて、英語の部分のみを吹き替えるという処置を取っている。つまり、ドイツ軍の場面などは、字幕なのである。
確か、各局版とも同じ声優がアテているのはなかったはずなので、三つの吹替版から、良いところ取りでピックアップして、全部別な声優版を作ってみたいというのが密かな願望である。
ちなみに現在発売されているDVDにはテレビ東京版の吹替えが収録されている。その他にも、オリ ジナル白黒版でなく、コンピューター処理によるカラー版も存在する。
面白い逸話が多い作品にして、3時間近いが飽きずに見られる巨編である。