フラッド – HARD RAIN(1998年)

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スタッフ

監督: ミカエル・ソロモン
製作: マーク・ゴードン、G・レヴィンソン
脚本: グラハム・ヨスト
撮影: ピータ・メンジス Jr
音楽: クリストファー・ヤング

キャスト

ジム / モーガン・フリーマン
トム / クリスチャン・スレーター
マイク / ランディ・クェイド
カレン / ミニー・ドライヴァー
チャーリー / エドワード・アスナー
ケニー / ミッシェル・ゴーギャン
メラー氏 / ダン・フローレック
レイ / リッキー・ハリス
ヘンリー / リチャード・ダイサート

日本公開: 1998年
製作国: アメリカ ミューチュアル・フィルム作品
配給: 丸紅、東宝東和


あらすじとコメント

今回も洪水の話。しかも、主役が犯罪者。今度は完全なるハリウッド製で、新しい時代性を加味した作品。

インディアナ州ハンティングバーグ。雨が降り続き、冠水地域も広域に渡り、保安官マイク(ランディ・クェイド)らによる、町民たちの避難誘導が行われていた。近くにあるダムの貯水量も危険水量に達していたが、二次被害も懸念され、放水制限がかけられていた。

そんな中、町外れの銀行から集金した大金を積んだ現金輸送車にトム(クリスチャン・スレーター)と、この仕事で引退するヴェテランのチャーリィが乗っていた。被害甚大になる前に何とか町からでようとしたが、運悪く冠水地帯に突っ込んで立ち往生してしまう。救援を呼ぶ二人。

すると、冠水場所の反対側に一台のジープがやって来た。乗っていたのはジム(モーガン・フリーマン)ら、四人。助けを求めようとしたトムたちに、いきなり発砲してくる。

何と、彼らは積んでいた現金を狙う強盗団だったのだ・・・

洪水の危機に瀕した田舎町で繰り広げられるパニック・アクション。

ひねりの効いた展開と、CGを上手く盛り込んでスピーディな展開をみせる娯楽作なのだが、どうにもB級感がある。それはパニック大作における豪華キャストや、多数のエキストラなどによる壮大なスペクタクル・シーンがないからだ。

しかし、面白いのだ。何故なら、数々の斬新なアイディアと映像テクニックを生みだした監督のヒッチコックが、もし、生きていて、CGを使う映画を作った場合は、本作のような作品になるだろうという、往年の映画ファン心理をくすぐるから。

それはファースト・シーンから顕著である。ダムが放水している場面から、農道が水没している地域を見せ、そのまま田舎町全景を写しだし、メイン・ストリートで避難誘導している保安官たちのアップまでをワンカットで見せるのだ。

見ていて、ニヤリとしてしまった。何故なら、ダムがいかにもミニチュアです、という作りだし、農道の水没地帯も、いかにも書割りなのだ。

そして、今の時代、もっとCGでスムーズに仕上げられるはずの繋ぎ目を雲などで誤魔化し、いかにも無理してワンカットにしましたという作り方。ここにヒッチ先生お得意の、敢えて、シニカルさを伴ったユーモアを感じた。

そして現金輸送車に乗る主人公は、突然、発砲され、状況が一瞬、飲み込めないというヒッチコックの好きな『巻き込まれ型』タイプなのである。

しかし、それ以後に、ヒッチコックの時代とは違う目新しさが登場してくる。

何と、発砲直後、彼は現金を持って逃げだすのだ。それは義務感なのか、それとも混乱に乗じて自分で盗んだのか。

強奪犯たちもリーダーであるモーガン・フリーマン以外は、どこか頼りなさげな仲間ばかり。避難誘導を指揮する保安官も町長の腹芸で選挙に落選させられ、引退が決定している噴飯の塊だ。

そんな彼の部下も、依怙地そうな男と気弱な青年の二名のみ。その上、避難を拒否している変わり者の老夫婦と、男勝りのステンドガラス修復職人の若い女。

そういった人物たちが、どんどん水没していく町に居残っている。その上、決壊寸前のダムの監視員も、何やら不穏な動きを見せていく。

登場者全員が、どこか謎めき、尋常ならざる雰囲気を持っている。モーターボートからジェット・スキーなど、派手でスピーディなアクションあり、水没していくパニック・シーンありと、まさに娯楽作の王道を行く展開。しかも上映時間が一時間半というコンパクトさの中、メリハリの効いた進行で見せていく。

傑作とか、佳作といった類ではないが、気楽に楽しめる、いかにもハリウッドらしい娯楽作である。

余談雑談 2009年7月18日
東京は梅雨が明けた。しかも、梅雨明けと同時に暑い日々がやってきた。これからが夏本番だろう。 しかし、ふと考えた。東京以外は、まだ梅雨が明けていない。「沖縄」、「九州南部」に続いて、いきなりの『飛び地』。 何となく違和感が残る。どうにも南から