今回の都々逸。夏も本番であるし、夏の代名詞のような花が登場するものにしてみた。
「分けりゃ二た根の朝顔なれど 一つにからんで花が咲く」
成る程、『からんで』とか『つるんで』という表現がピタリとくる花である。しかも、どこか淫靡な感じもする。
これがヒマワリであったら、全然違うイメージであろう。真夏の太陽の暑さをストレートに表現する花とも感じる。生命力が強く、真っ直ぐに力強く伸びる。
方や朝顔は、夜露が花に残るどこか儚げさが漂うイメージか。そこに日本人の朧げな心情が浮かぶ。やはり、力強くストレートではなく、『隠す』ことが美学ということか。
だが、面白いのは「朝顔」は、真夏に大輪の花を咲かせるのに、俳句での季語は「秋」である。
この微妙なズレ感も日本の美学ということだろうか。