このあいだ、深夜のケーブルTVで「本番オーデション やられぱっなし」(2009)という和製ピンク映画を見た。昨今流行の売れない『お笑い女芸人コンビ』を題材にしたものだ。
しかし、ピンク映画をあなどってはいけない。何とこれが久々のアタリの日本映画だった。
低予算で、女優などに華はなく、数度のセックス・シーンが挿入される。しかも実際に行為するAVと違い、『擬似』セックスである。当然セットなども組めず、総てが実際のスナックや、誰かの家を使用し、衣装も殆んどが自前。そういった貧乏臭さが全編を覆いながら、映画製作が好きで堪らないという熱意が伝わってくる。
劇場公開のみで、しかも3本立。作品の上映時間は1時間。当然、DVD化などされず、完全に『失せモノ』扱いだ。しかし、周防正行、滝田洋二郎など以後に、日本映画を牽引する監督を数多く輩出している業界。
そこに新たな名前が加わる予感がした。その名は、佐藤吏。
この監督は、いつか、陽の目を見るだろう。