スタッフ
監督: オットー・プレミンジャー
製作: オットー・プレミンジャー
脚本: ウェンデル・メイズ
撮影: ローヤル・グリッグス
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
トリー大佐 / ジョン・ウェイン
エディントン中佐 / カーク・ダグラス
マギー / パトリシア・ニール
トリー少尉 / ブランドン・デ・ウィルデ
マッコーネル中尉 / トム・トライオン
ベーブ / ポーラ・プレンティス
パウエル中佐 / バージェス・メレディス
グレゴリー大佐 / ジョージ・ケネディ
ニミッツ提督 / ヘンリー・フォンダ
日本公開: 1965年
製作国: アメリカ O・プレミンジャー・プロ作品
配給: パラマウント
あらすじとコメント
今回も太平洋で繰広げられる日米海軍の戦いを描いた作品。しかも、オールスター・キャストで、真珠湾攻撃からを描く大作。
1941年12月8日真珠湾沖。米海軍巡洋艦セントポール号は演習のため洋上にいた。艦長トリー大佐(ジョン・ウェイン)、副長はエディントン中佐(カーク・ダグラス)だ。だが、早朝、真珠湾を日本軍が攻撃したという一報が入る。
トリー大佐は、難を逃れて湾から脱出した駆逐艦数隻を擁し、日本軍を追撃に向った。しかし、燃料が少ないため、命令を無視し、危険な直線コースを取る。それが仇となって潜水艦に攻撃されセントポールは大破。
結果、大佐は重傷を負い、その後、解任され閑職へ追いやられた。その上、エディントン中佐の妻は留守中に陸軍将校と浮気している最中に死んでしまっていた。自暴自棄になった中佐は関係ない陸軍将校に殴りかかり営倉行きとなってしまう。
一方、入院中の大佐は看護師のマギー(パトリシア・ニール)と知り合って・・・
複雑な人間ドラマを絡めた戦争巨編。
真珠湾での負け戦から閑職に追いやられる主人公。
しかも、軍務優先から離婚し、その後、絶縁状態だった息子が成長して、同じ海軍に入隊してくる。しかし、息子は父親を毛嫌いし、出世を願って政治家志望の野心家の部下になっていた。
一方の副官は妻に浮気され自棄になり、結果、やはり閑職へと追いやられる。そんな二人は仲良しの看護師二人と知り合う。しかも、そのひとりは主役の息子の彼女という筋書き。
ややこしい展開である。それとは別に、とある作戦が主人公二人と関係ないところで進行していく。
それらの複雑な事情がやがて集約されていくのだが、ゆえに上映時間は3時間近い。
真珠湾攻撃のシーンは実物大のセットやミニチュアでメリハリを利かせて迫力がある。しかし、そういったスペクタクル・シーンとは別の人間ドラマがやたらと長い。
ただし、社会派監督で巨匠でもあったオットー・プレミンジャーの手腕は手堅いので飽きずに見ていける。
登場人物も多彩で、ヒーロー的活躍をする若き将校や、主人公の息子の上司や将軍、予備役軍人で主人公の親友でもある元ハリウッドの脚本家、オーストラリア人のガイドなどが、それぞれの見せ場を伴って描かれていく。
そういった役柄を演じる役者陣も多彩で興味深い。主役ジョン・ウェイン、その部下役トム・トライオン、提督役のヘンリー・フォンダは「史上最大の作戦」(1961)でも一緒だった。今回は出演してないが「史上最大の作戦」にでていたロバート・ミッチャムそっくりの息子ジェームス・ミッチャムが色を添え、まるで海軍版の「史上最大の作戦」を狙ったのかと思ったほどだ。
その他、後に脇役として売れるマイご贔屓のジョージ・ケネディ、戦争映画での将軍役の定番のひとりであるキャロル・オコンナー、「博士の異常な愛情」(1964)でキング・コング大佐を演じ、西部劇では名脇役のスリム・ピケンズ、更には「マイ・フェア・レディ」(1964)で、オードリーの父親役演じたスタンリー・ホロウェイなど。
なんとも豪華な布陣の割には日本ではあまり評判にならなかったし、映画史上に名が残っていない作品でもある。
やはり、相手が日本軍だし、メインのヤマ場がガダルカナル島攻防戦であるのだが、歴史上ありもしなかった戦艦「大和」との海戦がでてきたり、ケネディ大統領の若き軍人時代の有名な魚雷艇でのエピソードのパクリが挿入されたりと虚実取り混ぜた作劇が受け入れられなかったからだろうか。
それとも、戦時中、日本軍ではあり得なかった将校と看護師のロマンスに嫉妬したのだろうか。
ただし、日本軍を馬鹿にしていない作劇は好感が持てる。長さを感じるし、秀作や佳作とは呼び難いが、手堅く作られたメリハリのある作品である。