バンクジャック – DOLLARS(1971年)

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スタッフ

監督: リチャード・ブルックス
製作: M・J・フラコヴィッチ
脚本: リチャード・ブルックス
撮影: ペトラス・シュロンプ
音楽: クィンシー・ジョーンズ

キャスト

コリンズ / ウォーレン・ビーティ
ドーン / ゴールディ・ホーン
ケッセル / ゲルト・フレーベ
アンソニー / ロバート・ウェッバー
軍曹 / スコット・ブラディ
キャンディーマン / アーサー・ブラウス
少佐 / ロバート・スタイルズ
グラニッヒ / ウォルフガング・キーリング
ボディガード / ボブ・ヘロン

日本公開: 1972年
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

毒を持った映画人ウォーレン・ビーティ。今回も前回同様、ゴールディ・ホーンと共演した作品にしてみた。

旧西ドイツ、ハンブルグ。その町にある大銀行に保安主任として勤めるコリンズ(ウォーレン・ビーティ)は、自行の貸金庫が麻薬密売人や米軍の横流し、悪徳弁護士アンソニー(ロバート・ウェッバー)ら悪人たちに、都合良く使われているのが気になっていた。しかし、頭取のケッセル(ゲルト・フレーベ)は、アメリカとは違い、鷹揚な態度で黙認している。それも解せなかった。

そんな彼は恋人のドーン(ゴールディ・ホーン)と組んで、とある計画を思いつく。

それは、彼女に貸金庫を借りさせて、悪人たちに近付かせることだったが・・・

手堅くまとまった犯罪アクション作。

簡単に人を殺す一匹狼の麻薬の運び屋、数人で組んでアメリカと西欧を繋ぐ米軍人密売グループ。アメリカのマフィアとも絡んでいる弁護士。

それぞれの悪人たちの所業を見せていく冒頭。その全員と関係ありげな女。そんな彼女に下心満載の頭取。

そんな中、警備システムを開発した会社から派遣され、貸金庫が悪い使われ方をしているのを快く思ってない主人公だけは、妙に真面目そうだ。

ところが、彼こそ一番の悪党という展開になる。しかし、彼の計画は、あくまで悪人たちの隠し金を奪うことだ。普通の借手の貸金庫は狙わない。何故なら、彼らは被害届をだせるわけがないからだ。自分こそ、石川五右衛門ばりの義賊だと、うそぶく主人公。

では、時間指定施錠装置や監視カメラなど、厳重な金庫室から、どうやって彼らの金品のみを強奪するのか。そこいらのアイディアは面白い。

そんな彼に絡むのが、いかにも当時のゴールディ・ホーンらしい、少しオツムが弱そうだけど、どこかコケティッシュでキュートな恋人。その天然さが、思わぬスリルを喚起していく。

しかし相手は殺人をも厭わない犯罪者たち。彼らもビジネス・トラブルから、貸金庫の金が必要になり、全員が決行時に銀行に集まってくる。

畳み掛けるようにサスペンスが積みあがっていく展開である。そんなこととは露知らず、主人公が計画を実行に移す。

しかし、それはまだ中盤なのだ。映画はそれからまた、別な展開が待ち受ける。

いかがわしいストリップ酒場、重たい石造りの街並や、薄ら寒い港。そして雪景色といったドイツらしい場所をフンダンに映しだすカメラ。そこに、妙にマッチするゴキゲンなクィンシー・ジョーンズの音楽。

ここでも扱った異色西部劇「プロフェッショナル」(1966)や、トルーマン・カポーティ原作の「冷血」(1967)など、普通の映画を作らないリチャード・ブルックス監督。それが、やはり一筋縄の映画には関わらなかったウォーレン・ビーティとタッグを組んだ。

当時、どれだけの異色作に仕上がっているのかと期待して見たが、何のことはない、普通の作劇であった。

しかし、それが妙に面白かった。奇を衒わずに、普通に進行し、普通に盛上っていく。ただ、舞台がドイツだけに、アメリカ製のノー天気さもないし、かといって独特なヨーロッパ映画の雰囲気でもない。

そこにブルックス監督やビーティのセンスの良さと、ある意味、職人芸を感じた。

何が、どう繋がって行くのかという推理を喚起させながら進行する冒頭から、ある種、こちらの期待を裏切らない展開。

中々面白い犯罪モノの佳作と位置付けできよう。

余談雑談 2009年10月31日
ミシュラン・ガイド「京都・大阪版」発売が波紋を呼んでいる。 ガイド本が取り扱う店に関して選択権はミシュラン側にあると。つまり、店側の取材拒否は受け付けないのだとか。『だったら、誰でも入れるという飲食店の看板を下ろせ』と。それに、確実に信用の