スタッフ
監督: ヴィットリオ・デ・シーカ
製作: アーサー・コーン
脚本: チェザーレ・ザヴァティーニ
撮影: クリスチャン・マトラ
音楽: リズ・オルトラーニ
キャスト
七人の女たち / シャーリー・マクレーン
フレッド / アラン・アーキン
ジョルジョ / ロッサノ・ブラツィ
青年 / マイケル・ケイン
チェンチ / ヴィットリオ・ガスマン
ジャン / ピーター・セラーズ
クローディ / アニタ・エクバーグ
スーパーの美女 / エルザ・マルティネッリ
リック / レックス・バーガー
日本公開: 1968年
製作国: アメリカ エンバシー・ピクチャーズ作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
シャーリー・マクレーン主演作繋がり。彼女が7役を演じるオムニバスで、様々な彼女の顔が楽しめる。
フランス、パリ。葬儀の列が、ゆっくりと公園の中を進んでいる。喪主は、亭主を亡くしたポーレット(シャーリー・マクレーン)。その横にはジャン(ピーター・セラーズ)が、寄り添っていた。彼は、実は、初めて会ったときから好きだったと告白。
困惑するポーレットに、田舎に買った家で、一緒に過そうと続けた。
更に困惑する彼女だったが・・・
パリを舞台に7タイプの女性を描く艶笑喜劇。
上記に書いたストーリィは第一話。その後、亭主の浮気現場に直面した妻が、逃げだして街娼に慰められる第二話。
国際会議で美人通訳を口説こうとするイタリア人とスコットランド人に降りかかる一晩の出来事を描くのが第三話。
第四話は、人気小説家の地味な妻が、最近、仕事に没頭して相手をしてくれないので、ある行動にでる。
第五話が、社交界の花形夫人が、ライバルである夫人が、自分と同じデザインのドレスでオペラ観劇にでると知って一計を案じる。
安ホテルの一室で、心中を図る不倫カップルが、心中方法で揉めだす、第六話。
最後が、見知らぬハンサムな青年に尾けられる二人の人妻が、どちらがタイプでナンパ目的か賭けようと別々に歩きだすオハナシ。
その総ての話の主人公をシャーリー・マクレーンが演じる。髪の色や長さを変えたりして熱演である。共演陣もかなり豪華である。
ただし、成功作かというと疑問符がつくのだが。それは、すべての舞台がパリなのだが、全編英語の台詞であり、共演者がフランス、イギリス、イタリアと国際色豊か過ぎて、しかもヘンな英語の訛りで、一体、どの国の人間か解らず、混乱することなどが挙げられる。
マクレーンも当時としてはかなり大胆なヌードを披露したりと、寓話ごとに変化を持たせようとしているが、それでも、さすがに7役ともなると限界がある。
しかもどう見てもマクレーンがフランス女というイメージが湧かないのが一番の難点。
そして、そんな違和感を増幅させるのは監督のヴィットリオ・デ・シーカと脚本のチャザーレ・ザヴァティーニがイタリア人であるという点。
かなり国際色豊か過ぎて、どうして全話の背景がパリであるのかという必要性が感じられないのだ。
ただ、当然面白いエピソードもあり、共演陣も心中相手を演じたアラン・アーキンや、最終話のストーカー青年を演じたマイケル・ケインなど、そもそもの登場時間が短いのに、強く印象に残る演技を披露したりしている。
考えようによっては、余計な場面を挿入して、やたらと上映時間を長く感じさせる大作より、飽きる前に次々と内容が変化するので、一本で数本分の楽しみがある。
その点では、本作以前に同じようにオムニバス映画として、「昨日・今日・明日」(1963)を作ったデ・シーカ監督。全挿話でなく、何本か自分のお気に入りを見出し、その中に、緩急の付いたイタリア人としてのヴェテランの味が楽しめるといった作品。