スタッフ
監督: J・リー・トンプソン
製作: アーサー・P・ジェイコブス
脚本: アドルフ・グリーン、ベティ・コムデン
撮影: レオン・シャムロイ
音楽: ネルソン・リドル
キャスト
ルイーザ / シャーリー・マクレーン
フリント / ポール・ニューマン
アンダーソン / ロバート・ミッチャム
クローリー / ディーン・マーティン
ベンソン / ジーン・ケリー
ステファンソン / ロバート・カミングス
ホッパー / ディック・ヴァン・ダイク
画家 / レジナルド・ガーディナー
フォスター夫人 / マーガレト・デュモン
日本公開: 1964年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
シャーリー・マクレーン繋がり。前回扱った「女と女と女たち」では彼女が7役を演じたが、今回は、彼女は代わらず、相手役が七変化する。
アメリカ、ワシントン。喪服を身に纏ったルイーザ(シャーリー・マクレーン)が、国税庁のオフィスへやってきた。
そんな彼女は、応対した窓口の係員に寄付の申し出を行った。何と、総額2億11万ドル。驚いた職員は即座に申し出を拒否し、代わりに精神科医スティファンソン(ロバート・カミングス)を紹介した。
そこで、彼女は、金運良好が仇となり、ことごとく亭主運には見放されてきた、と今までの出来事を語りだした・・・
俗にいう『さげまん』女の人生を皮肉たっぷりに描く娯楽作。
普通の人間なら誰もが憧れるであろう「金持ち」。主人公の女は、オハイヨの田舎で生まれ育ち、拝金主義者の母親に反抗し、ディーン・マーティン扮する大金持ちのボンボンと結婚を破談にし、貧乏人と結婚。ところが、旦那が一念発起し金持ちになるが過労死してしまう。
失意の果て、パリへ行き、今度はポール・ニューマン扮する貧乏画家と知合い貧しいながらもボヘミアンな生活を堪能する。ところが、彼が発明したペインティング・マシンによる絵が大人気で、金持ちに。そんな彼も死んで、絵画の膨大な遺産が残り、今度は大実業家のロバート・ミッチャムと恋に落ちる。
と、次々に知合う男と恋に落ち、貧乏人たちは出世するが、結局、死亡し、遺産だけが膨らんでいくというオハナシ。
完全に、マクレーンのために作られた映画である。衣装総数72点。しかも、相手役が変わると、映画の作り方もガラリと変わる。ある意味、オムニバス映画のような進行。しかも、相手役は豪華である。
プライベートでも遊び人と呼ばれたディーン・マーティンに、自身と重なるような役を演じさせ、アクターズ・スタジオ出身のポール・ニューマンには、一風変った芸術家を神経質そうに演じさせ、ミュージカルの大御所ジーン・ケリーには、タップリとその芸を披露させる。
中でも出色なのはロバート・ミッチャム扮する大富豪とのシークエンスだろう。このときのイーディ ス・ヘッドによる衣装は素晴しく豪華である。
ただし、脂の乗り切っていた時期のJ・リー・トンプソン監督のカラーではないのが残念。
本来は、大のご贔屓の一本「恐怖の砂」(1958)や、「ナバロンの要塞」(1961)、「恐怖の岬」(1962)といったサスペンスフルな、いかにもイギリス出身らしい手堅さがあるのだが、こういった豪華絢爛な作劇は手に余ったという印象である。
実際、この直後に監督した「死刑台への招待」(1965)以降、ハッキリいってロクな作品を残していない。個人的には、大きなターニング・ポイントの作品と位置付けしている。
都会的ソフィスティケイトな作品を得意とした『パラマウント』、ミュージカルでの実績はピカイチの『MGM』といった製作会社各社のカラーをパートごとに出そうとして、逆にそれが混乱を招いているとも感じる。
ただ、当時としては豪華な作品であるし、大作でもあることに、何ら変わりはない。