マルタ島攻防戦 – MALTA  STORY(1953年)

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スタッフ

監督: ブライアン・ディズモンド・ハースト
製作: ピーター・デ・サリネィ
脚本: ウィリアム・フェアチャイルド、N・バルティン
撮影: ロバート・クラスカー
音楽: ウィリアム・オールゥイン

キャスト

ロス大尉 / アレック・ギネス
フランク飛行司令 / ジャック・ホーキンス
バートレット中隊長 / アンソニー・スティール
マリア / ミュリエル・パヴロウ
メリタ / フローラ・ロブソン
リヴァース / レニー・アシャーソン
バンクス / ラルフ・トルーマン
ジュゼッペ / ナイジェル・ストック
高射砲手 / ゴードン・ジャクソン

日本公開: 1955年
製作国: イギリス アーサー・ランク作品
配給: BCFC NCC


あらすじとコメント

今回も第二次大戦のイギリス空軍の話。劣勢だったイギリス軍が反撃に転じる切っ掛けとなる戦いを描く、ある種、戦意高揚映画。

1942年、地中海に浮かぶマルタ島。シチリア島の西方93キロ、南方には北アフリカがあり、独伊軍が制空権を握る補給路の要衝にある島。

島を守っているのはイギリス軍だが、完全に孤立無援でもあった。そこへ、北アフリカのカイロへ向うロス大尉(アレック・ギネス)の乗る輸送機が、給油のために到着した。しかし、ドイツの戦闘機が来襲し、輸送機は破壊されてしまう。しばらくは足止めになる大尉。そのことを聞いた飛行指令(ジャック・ホーキンス)は、偵察機のパイロットが不在なので、早速カイロに連絡を入れ、大尉をそのまま島に転属させた。

しかし、戦闘機、燃料、食料など総てが不足しており、物資を積んだ輸送船は、到着前に、ことごとく敵の餌食になっていた。益々、劣勢になるイギリス軍。

日々、爆撃が繰り返され、いよいよドイツ軍の上陸作戦が現実味を帯びだしたころ、大尉は島に住むマリア(ミュリエル・パヴロウ)と知合って・・・

いかにもイギリスらしい正攻法で押してくる戦争映画。

まだ、絶大なる勢力を誇るドイツ、イタリア枢軸軍を前にイギリスが劣勢だった時期。完全に孤立した島は、日々、敵の空爆に苦しめられていた。

そもそも、このマルタ島は、歴史を紐解いても、イタリアのシチリアと同じく、様々な国に侵攻され、統治されてきた歴史を持つ。

島民たちは、長い間、その歴史の上に生きてきた国民である。ゆえに、虐げられた環境でも決して、めげることがないという国民性を持っている。

しかし、映画は、そういった島の住人たちよりも、統治していたイギリス軍の動きに焦点を合わせて描いていく。

本作は、当時、実際に行われた『ペデスタル作戦』を描いたものである。独伊枢軸軍による、俗にいう「雪隠攻め」が行われマルタ島降伏は時間の問題とされていた。

そこで本国イギリスでは、攻勢に転じさせるべく、大補給船団と戦闘機部隊を大々的に派遣する決定を下した。しかし、途中、敵の攻撃に遭い、半分以上の艦船や航空機が犠牲になった悲劇の作戦でもある。

ところが、何故、これほどまでの大規模なタンカーを含む補給部隊を組織できたのかとか、どうして、それほどまで『石油』が必要だったのか、ということは中盤まで謎のまま進行していく。

これは偶然にも、北極海での海戦が休止していたために大船団が組め、また、マルタ島は海水を濾過装置で飲料水にしていたため、石油がなくなると装置が停止するからであった。つまり、戦闘機の燃料以上に、生存権が懸かっていたのである。

映画は、その事実を、実際のキュメンタリー画像、ミニチュアなどを駆使して描いていく。ただし、劇的に盛上ることはない。ここにいかにもイギリス映画特有のセミ・ドキュメンタリー・タッチが強調されている。

残念なのは、主人公と島の娘との恋の行方や、兵士たちの日常が描かれるのだが、どの登場人物も掘り下げて描かれることはなく、アレック・ギネスやジャック・ホーキンスといった名優たちの存在感に賭けているとも感じた。

その上、何の予備知識もなく見ると、端折り過ぎの感も否めない。

やはり、この手の映画は監督の感性なり、力量に左右されるという、典型的な例であろう。

余談雑談 2010年1月30日
もうすぐ「節分」である。 東京では『豆まき』が主流であるが、いつの頃からか、関西方面の『恵方巻』なる巻き寿司を食べる習慣が、こちらでも紹介されるようになった。自分が子供のころは、なかったし、まったく知らなかった習慣である。 更には、いわしの