ストリップ劇場に足を踏み入れたからか、このところ、妙に『色気』づいている。
とはいっても、自身に人生をややこしくする女性が登場した訳ではない。
数年振りに、かつて会社を経営していた頃の同業仲間から突如、電話がかかってきたのだ。
暫くぶりに関西から東京にやって来たので派手に飲もう、と。突然であるし、夜でもあったので、財布の中身と相談して辞退したのだが、意に介さず、ホテルからタクシーを飛ばしてきた。
相手は二人だった。相応に老けていたが、双方とも社長。このご時勢なのに、妙に、景気が良い。
で、いきなり六本木に連れて行かれ、「フィリピン・パブ」、「女性大生だけのキャバクラ」、ダンサーが腰をくねらせて踊る「ポール・ダンス・バー」、最後はちょっとした「おさわりバー」。果ては「シメのラーメン」まで、連続してハシゴ。
しかも、こちらの現状を知っていて、全額向こう持ち。最後はタクシーで、自宅まで遠回りして送ってくれた。
尚且つ、帰路中、酔っているのに、もしくは酔っているからこそか、ホテルへ女性を呼べないかと運転手に相談。貴奴らには「草食系」など無縁なのであろう。
間違いなく、奴等はひとり15万円以上散財した。全部奢りゆえに、妙に気を遣った晩でもあった。
早朝に近い時刻、ひとり冷えたベッドに潜り込むと、全員が同じ歳ながら、そのあまりにも違う人生展開に、恐れ入って眠れなかった。