スタッフ
監督: ウォルター・E・グローマン
製作: セシル・F・フォード
脚本: ジェームス・クラヴェル、ハワード・コッホ
撮影: エドワード・スケーフ
音楽: ロン・グッドウィン
キャスト
グランド中佐 / クリフ・ロバートソン
バーグマン大尉 / ジョージ・チャキリス
ヒルデ / マリア・パーシィ
デイヴィス少将 / ハリー・アンドリュース
バレット中佐 / ドナルド・ヒューストン
アダムス中隊長 / マイケル・グッドリフ
ギリーブランド大尉 / ジョン・ミーロン
ホプキンソン少佐 / アンガス・レニー
ビーゼル / スコット・フィンチ
日本公開: 1964年
製作国: アメリカ ミリッシュ・カンパニー作品
配給: ユナイト
あらすじとコメント
イギリス空軍の活躍と抵抗組織のヒーロー。今回は恋愛をも絡めた娯楽アクション作。
1944年イギリス。ある空軍基地に、英国海軍姿の将校がやってきた。彼はバーグマン大尉(ジョージ・チャキリス)で、ノルウェーの地下組織のリーダーであり、ノルウェー、ベルゲン北部に作られたドイツ軍燃料工場爆破計画を実行する密名を帯びていたのである。
その工場は複雑な地形の山岳地帯の奥にあり、しかも、断崖の中腹に洞窟形式で作られ、上部は崖がひさしのように突きだしているため、通常の爆撃では破壊できない場所だった。
しかも、空爆を想定して、そこへ続く断崖の山岳地帯には要所要所、敵の精鋭高射砲が設置されていた。
そこでバーグマンは633爆撃隊のグランド中佐(クリフ・ロバートソン)に相談を持ちかけるが・・・
幾つもの難関が起き、それを次々とクリアしていく戦争映画。
三回ほど前に紹介した「暁の出撃」(1955)の派生系的作品でもある。それは『水切り作戦』。ただし、今回は水面ではない。
ストーリィは、爆撃編隊が目的地まで、どのように行き着けば良いのかという試行錯誤や、訓練のシーンが繰り返し描写されるのは「暁の出撃」と同じである。
その他に、地下組織のリーダーと彼の妹との再会や、その妹と主人公である爆撃隊長の色恋が絡む。
当時、日本ではかなり人気のあったジョージ・チャキリス。当然、彼が主役のように売られたが、実際は完全なる脇役であった。
なので、通常は戦争映画など見ない女性のチャキリス・ファンは無理して本作を見たが、その扱いに失望したといわれている。
しかし、男性からすれば、そんなことは関係ない。映画としてちゃんと成立していれば文句はない。自分もそのひとりである。
確かに訓練の場面や、爆撃実行までの短い期間内での試行錯誤の成功と失敗などは完全に「暁の出撃」のパクリである。
しかし、それだけでは面白くないと、チャキリスが爆撃時に彼らを待ち受ける高射砲陣地を潰すという地上援護のためにノルウェーに戻り、地下組織を再編したり、そんな彼らがドイツ軍と事前に一戦交えるといった戦闘場面があったりと、欲張った展開を見せていく。
要は困難を極める爆撃隊の訓練と、地下組織の活動と主人公の色恋というトライアングルで進行していく。
監督はTV出身で、映画二本目のウォルター・E・グローマン。彼は戦時中、実際にパイロットとして活躍した。ゆえに空中シーンなどは迫力がある。
脚本は「大脱走」(1963)のジェームス・クラヴェルと「カサブランカ」(1942)でアカデミー賞を獲得したハワード・コッホ。
しかも当時、5機しか現存していなかった、ボディがベニヤ製で軽量の『モスキート爆撃機』を整備し直して実際に飛ばしている。ただし、オリジナルそのものがベニヤ製なので、重量感はないのだが。
戦争映画ゆえに、万々歳のハッピー・エンドとは行かないし、編集などのリズム感も一定しないジレンマは感じるが、娯楽戦争アクション作としては、上手くまとまっている作品である。