ブラボー砦の脱出 – ESCAPE FROM FORT BRAVO(1953年)

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スタッフ

監督: ジョン・スタージェス
製作: ニコラス・ネイファック
脚本: フランク・フェントン
撮影: ロバート・サーティス
音楽: ジェフ・アレキサンダー

キャスト

ローパー大尉 / ウィリアム・ホールデン
カルラ / エレノア・パーカー
マーシュ大尉 / ジョン・フォーサイス
キャンベル / ウィリアム・ディマレスト
キャボット / ウィリアム・キャンベル
ベイリー / ジョン・ラプトン
オーウェンス大佐 / カール・ベントン・リード
ビーチャー中尉 / リチャード・アンダーソン
アリス / ポリー・バーゲン

日本公開: 1954年
製作国: アメリカ MGM作品
配給: MGM


あらすじとコメント

ジョン・スタージェス監督の西部劇。活劇系が得意の監督であるが、折角だから日本初登場の作品にしてみた。メリハリの効いた、実に面白い展開を見せる娯楽活劇の逸品。

アメリカ、アリゾナ。1863年南北戦争の最中、北軍のブラボー砦には、マーシュ大尉(ジョン・フォーサイス)ら、南軍の捕虜が多数、収容されていた。

その砦の守備隊所属であるローパー大尉(ウィリアム・ホールデン)は、敵味方双方から恐れられる、情け容赦のない男だった。今日も、脱走した南軍兵士を見せしめのために無理矢理、砂漠から歩かせて連れ戻して来た。

翌朝、大尉らが遅延している補給部隊を迎えに行くと、途中で全滅しているのを発見。周辺を暴れまわる凶悪インディアン、メスカレロ族の仕業であった。

帰路につくと今度は、メスカレロ族に襲われている駅馬車を発見し、銃撃戦の後、何とか無事に保護をした。その駅馬車に、美しいカルラ(エレノア・パーカー)が乗っていたことから・・・

『西部劇』全盛時代に作られた小気味良い佳作の一本。

当時としては、実に変化球的な展開を見せる娯楽作でもある。

砦を守る守備隊は一個中隊のみ。しかも南軍捕虜の方が、数が多い。更には、周囲をインディアンが暴れ廻っている。内なる敵と外にいる敵。主役はクールな鬼将校。そこに美人が登場してくる。

まさしく、王道を行く展開で物語は始まる。なるほど、きっと敵味方、入り乱れての砦の攻防戦になるぞ、と当時の観客は思ったに違いない。

しかし、そんな単純には進行しない。王道を行くと見せかけて、微妙に外して来るのだ。

当然、捕虜たちは脱走を考える。しかし、外は砂漠が広がり、インディアンが虎視眈々と白人を狙っているのだ。

インディアン側からみれば、自分らの領土に侵入してきて、勝手に白人同士で戦いをしているとしか考えていないのである。軍服の色が違おうと関係ない。要は『白人』は、全員敵なのである。

つまり、脱走を試みたい捕虜も、収容している北軍側と同じく、内なる敵と外敵が存在する状況であることに変わりはない。

更に、通常、西部劇では添え物扱いが多い女性も本作では重要な鍵を握る設定だ。その上、双方から『臆病者』と蔑まされる詩人の青年捕虜といった珍しいキャラターも登場してくる。

人物設定が、当時としては、とても興味深いし、展開も実に面白い。「砦の攻防」といった閉鎖的な戦いでもなく、かといって町場も登場こそするが、酒場での乱闘といった派手な場面もない。インディアンも誇り高い民族として描かれ、ただ突進してくるという、単純で数に任せたスペクタクルがメインでもない。

その微妙な外し方。そういった当時の娯楽映画の王道であった『西部劇』のセオリーを壊しながらも、荒涼たる峡谷や、『動』と『静』の場面が交互に描かれるメリハリといった、『王道』も存在する作劇の妙。決して大作ではないが、絶妙に面白い進行を見せていくのだ。

確かに、『白人』と『インディアン』どちらが人間として格上かとか、「勝利する者のみが勝者である」といった『力づく』が正論であるといった時代性を感じる部分もある。

しかし、そういった点を考慮した上で、今の時代に見ても、実に面白いウエスタンとして楽しめよう。

余談雑談 2010年7月31日
相変わらずの暑い日々。散々悩んだ挙句、保険金をつぎ込んで、エアコンを購入することに決めた。 いよいよ工事当日。朝8時には30℃を越える日だった。職人たちが、台車にエアコンや工事道具を乗せ、4名でやって来た。ところが、室内に入った親方が、エア