実に久し振りに「観劇」に出向いた。
ヴェテラン脚本家、倉本聰による「歸國」である。65年前に戦死した兵士たちが、現在の日本に帰ってきて感じることを描いた、ある種、ストレートな作品。
『お国の為』と、それぞれの人生や青春を捨て、戦死していった兵士たち。そんな「英霊」が、現代の日本人の生活を見て、感じる複雑な心情を、シンプルだが見事な舞台装置によって展開していく。
倉本聰は、若い時期はコメディから、以後、自身が移住した北海道を舞台にした人間ドラマを発信してきた人物。どこかアヴァンギャルド的なシニカルに満ちた作風から、ストレートな人間ドラマへと変貌を遂げた作家だと感じている。75歳を向え、何か、次世代へ残したいと痛切に考えたのだろう。
本当にストレートな作品である。笑いや涙といったツボを押さえ、『死ぬに死にきれない』英霊たちの隔世感を浮かび上がらせる。
丁度、今日TBS系で、ビートたけしら、豪華キャストによってドラマ化された同作が放映される。
舞台は、脚本を書いた倉本自身が演出した。それが、実際の『映像』となると、どのように印象が変わるのだろうか。
見比べてみようと思う。