今回の都々逸。
「服のほころび縫うのもうれし 胸に埋める糸切り歯」
何とも艶っぽさを感じる。脱いだものではなく、男が着たままの状態で行う作業。『キスマーク』的色っぽさを想起させもする。
それに、これは本妻目線ではなかろう。でも、これが妾であったら、どこで繕って来たのと、夫婦喧嘩の種にもなろうか。
ということは、単なる恋人か。だとすると縁起が悪い。何せ、『切る』は禁句。それに「糸を切る」だ。
で、「糸」といえば、個人的に思い浮かぶのは『仕付け糸』である。着物の仕付け糸。
上の都々逸ではないが、逆に女性が着物を着ている状態で、これを抜くのは覚悟がいる。
この意味が解る御仁は、粋筋だろうな。