アウトロー – THE OUTLOW JOSEY WALES(1976年)

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スタッフ

監督: クリント・イーストウッド
製作: ロバート・デイリー
脚本: フィリップ・カウフマン、ソニア・チャーナス
撮影: ブルーウ・サーティス
音楽: ジェリー・フィールディング

キャスト

ウェールズ/ クリント・イーストウッド
ローン・ワティ / チーフ・ダン・ジョージ
ローラ・リー / サンドラ・ロック
デリル大尉 / ビル・マッキニー
フレッチャー / ジョン・ヴァーノン
サラ / ポーラ・トゥルーマン
テン・スポット / ローヤル・ダーノ
ケリー / マット・クラーク
ジェイミー / サム・ボトムス

日本公開: 1976年
製作国: アメリカ マルパソ・プロ作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

イーストウッド監督&主演作品。数多い作品群の中でも、彼を語る上で外してはいけない一品にして傑作。

アメリカ、ミズーリ。南北戦争も終わりの頃。

農業を営むウェールズ(クリント・イーストウッド)は、妻子を殺され、相手が「赤足」と呼ばれる北軍義勇兵集団であると知り、フレッチャー(ジョン・バーノン)率いる、南軍に加担する部隊に参加した。

しかし、南軍の敗北後、正規の北軍大尉となった「赤足隊」隊長デリル(ジョン・マッキニー)に屈服し、北軍に寝返ったフレッチャーを尻目に降伏もせず、たったひとり、アウトローとなった彼は・・・

アメリカ製「西部劇」の流れに楔を打ち込んだ、歴史に残るべき傑作。

アメリカ建国200年を記念して作られた大作だが、監督と主演はTVシリーズ「ローハイド」で売れたが、以後、アメリカ時代はまったく陽の目を見なかったイーストウッドであるところがミソ。それゆえか彼の『反骨精神』は筋金入りである。

そんな彼が作り上げた「アメリカ建国の歴史」。

当時、大衆の娯楽であった『映画』の中でも「西部劇」は、サイレント時代のスピード感溢れる活劇から、単純明快な誰が見ても解りやすい「完全懲悪」スタイルへと変化し、やがて、単純過ぎて衰退していたジャンルでもある。

今でこそ「インディアン」という言葉が差別用語で「先住民」として認知されているが、西部劇では単純なる悪役として描かれてきた歴史もある。そして、本来、敵役であった「アウトロー」を主役に据える。

確かに、アメリカン・ニュー・シネマ以降、様々な取り組みが行われてきたジャンル。そこに持ってきての本作である。

冒頭、内戦である「南北戦争」で、白人に家族を殺された男が敗軍に加担する。その後、たった一人孤高の復讐を誓うのだ。

ストーリィとしては、ありがちな設定でもある。そこに先ず、登場して来るのは彼を慕う若い男だ。しかし、すぐに退場してしまう。その後、主人公は極悪人として、噂に尾ひれが付き、追われる身となる。それでも実力を上げ、復讐の機を伺いながら、旅を続けていく。

それ以後、連れとなるのは先住民の元酋長であり、部族から放りだされた先住民の若い女。そして、野良犬。更には夢の新天地に家を持った息子を訪ねるという祖父母と孫娘が加わって行く。

まさに『合衆国』としての集約であり、悠久の自然を背景に、どこかノンビリとしながらも、アクションを散りばめ進行していく展開。二時間を越える大作でありながら、スピード感溢れる展開でもない。だが、見るものの心を鷲掴みにする作劇。

風評では、無法者と呼ばれながらも、真のヒーローには、信奉者が増えて行くという、深謀遠慮なるイーストウッドの『真の愛国心』が浮かび上がる。

一部の白人たちの「優位性」と「排他」。それを味わってきた彼自身が、建国200年という節目に、王道であった「西部劇」ヘの最大のオマージュとして謳い上げた作品であり、「他民族」と「許容」ということに対して、以後、これ以上見事に、尊敬と贖罪を持って描いた『ウェスタン』は存在しない。

現在に至る、どのイーストウッド作品にも、すべて本作の影響が感じられる傑作であると確信する。

余談雑談 2010年10月30日
6年物のノート・パソコンを買い換えた。 これで、入院保険金がすべて消えた。年末に向け、何かと物入りになるかも知れぬのに、まったく計画性がない。 そんなことを思いながらも、相変わらずマルチ・プレーヤーにダビングをしているのだが、ネットで調べた