怒りの河 – BEND OF THE RIVER(1951年)

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スタッフ

監督: アンソニー・マン
製作: アーロン・ローゼンバーグ
脚本: ボーデン・チェイス
撮影: アーヴィング・グラスバーグ
音楽: ハンス・J・サルター

キャスト

マクリントック / ジェームス・スチュワート
コール / アーサー・ケネディ
ローラ / ジュリア・アダムス
ウィルソン / ロック・ハドソン
マージー / ローリー・ネルソン
ペイル / ジェイ・C・フィリッペン
アダム / スティピン・フェチェット
ショーティ / ハリー・モーガン
メロー船長 / チェビー・ジョンソン

日本公開: 1952年
製作国: アメリカ ユニヴァーサル作品
配給: ユニヴァーサル


あらすじとコメント

今回もジェームス・スチュワート主演の西部劇。監督は彼とは名コンビで、8本の作品があるアンソニー・マン。当時の王道でもあり、また、少し目先の変わった展開が楽しめる西部劇。

アメリカ、オレゴンあたり。北の新天地を目指す開拓民の一行がいた。道案内はマクリントック(ジェームス・スチュワート)だ。そんな彼は森の中で、馬泥棒をしたと縛り首になりかかっていたコール(アーサー・ケネディ)を助けた。

コールは、礼を言うと同行を願いでる。一行は馬を進めるうち、インディアンの襲撃に遭い、ローラ(ジュリー・アダムス)が負傷してしまう。

やがて、彼らは船着場がある町に辿り着く。そこから船に乗って更なる北の未開拓地へと向うのだ。マクリントックらは、商人と交渉し、後便で食料を送らせることにした。しかし、ローラは治療のために残ることになり、食料と一緒に後発便で来ることになった。彼女に好意を持っていたコールも町に残るという。

マクリントックたちは先にでたが、約束の期限になっても、何故か食料もローラたちもやって来ず・・・

『人間は改心できるか』を問う西部劇の佳作。

いかにも善人というイメージの強いジミー・スチュワート。本作でも、気は良いが、頼り甲斐があるという風情で登場する。

拳銃は持たず、護身用ライフルのみを携帯する好漢。そんな彼が、縛り首になりかけている見知らぬ男を救う。いかにも腹に一物ありそうな男を、である。

先ず、そこで観客は、何故、そんな男を助けるのかと疑問に感じる。しかし、初対面であるが、助けられた男が主人公の名前を聞いて驚くのだ。主人公にも何やら過去があると推察させる展開。

物語は、開拓地に食料が届かないのは、付近で金脈が見つかり、金鉱探しが流入し、物価が高騰したためとわかる。

再交渉に出向いた主人公からの連絡を待つしか情報を知りえない開拓民たち。彼らを運んだ蒸気船の船長や乗組員。商品を送るといった荷主。そして縛り首から助けられた男と、怪我をした若き美人。

金脈が見つかったことで、明確に登場人物たちの中で『変わる者』と『変わらざる者』が極分化されていく。更には、ギャンブラーの若者という、どちら付かずというスタンスの人間や、僅かな金で動く荒くれ男たちも、新たに絡んできて物語は進んでいく。

そして、そこで主人公が単なる善人では、起こりえないストーリィが起きるのだ。

そのあたりの展開は、ツボにはまり、ワクワクする。だが、現代のようなスピード感を求めると、肩透かしを喰らうのも事実。

そこに、往年の西部劇特有のゆったりとしたリズム感と、農業や畜産に賭ける開拓者が正義であり、更には実力がものを言うという武力による正論も存在する価値観が横たわる。

何といっても、少し複雑な性格設定を演じるスチュワートが、いつもながら良い味をだしている。

手堅いアンソニー・マンの演出も安心感があり、誰が見ても解りやすい設定と進行という王道と、ミステリアスなスパイスを一振りした妙味が絡み合い、捨て難い一作に仕上がっている。

余談雑談 2010年11月13日
「東京スカイツリー」効果からか、自分の住んでいる繁華街は休日ともなると、毎回かなりの人出である。 こちらは、ほぼ毎日曜、観光客のごった返す中、小学校の同級生が営む古ぼけたラーメン屋にビールを飲みがてら、昼食を食べに行く。そこは『場外馬券場』