余談雑談 2010年11月20日

日曜のこと。いつも通り、小学校の同級生が営む小汚いラーメン屋の後、近くの飲み屋に顔を出した。

そこはベテランの親父さんが焼く、豚の内臓のもつ焼が旨い店。毎回、懐具合を考えて「酎ハイ」一杯と「もつ焼」四本で計700円也しか使わぬのだが。近くに、昨今有名になった『煮込みストリート』なる屋台村のようなものがあるが、値段と味を考えたら信じ難い『開き』がある。

その店で、売れない老コメディアンと知り合った。昔、某有名人の付き人をしていたが、夢を捨て切れずに転身したそうだ。腰が低く、いかにも苦労人という風情だが、当然、それだけで喰えるはずもなく、いつもはタクシー運転手で生計を立てている。というよりも、コメディアンは、ほぼボランティアだと笑った。

そんな彼に、その店は、金を取らずに食事を出している。彼以外にも近所に住む元職人の独居老人や、立ち食いソバ屋に勤める女性などにも、自分らの賄いと同じ簡単なものでだが、馳走している。

ビートたけしの貧しく若い浅草時代の話を想起して、妙に、嬉しくなった。浅草には、まだ心意気を持つ店が残っているんだな、と。

メルマガ詳細