メドゥーサ・タッチ 恐怖の魔力(未) – THE MEDUSA TOUCH(1978年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督: ジャック・ゴールド
製作: アーノン・ミルハム
脚本: ジョン・ブライリー
撮影: アーサー・イベットソン
音楽: マイケル・J・ルイス

キャスト
モーラー / リチャード・バートン
ブリュネル警部 / リノ・ヴァンチュラ
ゾンフェルド / リー・レミック
警察副総監 / ハリー・アンドリュース
バリスター / アラン・バデル
パトリシア / マリー・クリスチャン・バロー
ジョンソン医師 / ゴードン・ジャクソン
パリッシュ / ジェレミー・ブレット
ダフ / マイケル・バーン

日本公開: 未公開
製作国: イギリス、フランス作品
制作プロ: コーラスゴールド・プロ


あらすじとコメント

前回扱った作品で、脱獄囚役を演じたリノ・ヴァンチュラの出演作。彼は、元々はボクサーだったが、その風貌から犯罪者か刑事役を演じることが多い。本作でも刑事役だ。しかし、内容は彼らしくないので、取り上げる。

イギリス、ロンドン。作家のモーラー(リチャード・バートン)は、ひとり自宅でテレビを食い入るように見つめていた。放送されているのは、アメリカの宇宙船がたった今、消息を絶った瞬間の生放送だった。

ロンドンでは数日前、300人を乗せた旅客機がビルに衝突し、大惨事を起こしたばかりだった。このところ立て続けに不穏な事故が相次いでいる。しかし、その瞬間、何者かに彼は鈍器で、頭を徹底的に殴られ殺されてしまう。

現場に駆け付けたのは交換研修で、フランス警察から派遣されているブリュネル警部(リノ・ヴァンチュラ)だ。警部らは、あまりにも悲惨な現状に、目をそむけるが、すぐに実況検分を始め、モーラーの日記を見つけた。中には不思議なことが書かれている。

その時、モーラーの手が少し動いた・・・

不思議な能力を持つ男を描く、隠れたるオカルト・ミステリー作。

突然、殴り殺される主人公という場面から始まり、第一発見者の謎めいた隣人や、日記に書かれた『Lの気配』やら『西側の正面』といった意味不明な文章と、ミステリアスな展開を見せて進行し始める。

しかも、頭部のみを連続強打された、その凄惨な死体が不意に動きだして、突如、オカルト・ホラー的展開になる。

上々の滑りだしである。更に調査に当たるのが、大好きな俳優にして、円熟味を増していた時期のリノ・ヴァンチュラ。しかも、ほぼフランス映画にしか出演して来なかった彼が英語を話すという貴重な作品でもある。ある意味、思い入れ先行かもしれぬが。

そんな彼が異国で調査に当たる不安さと、それでも自己流を貫こうとする、いかにもそれまでの出演作同様の彼らしいスタイル。

一方で、主役のバートンは、病院搬送後、意識不明で心臓停止状態にもかかわらず、脳波だけは異常な動きを見せるというミステリアスな展開と相成る。

それを不思議そうに見守る医師役が、脇役専門だが、ご贔屓俳優のひとりで、「大脱走」(1963)で『サンキュー』と言って、脱走兵だとばれる役を演じたゴードン・ジャクソンだから堪らない。

ストーリィは、主人公の謎を握る精神医が登場してきて、どうやら主人公が幾つもの死亡事故に関係し、しかも、旅客機のビル激突墜落事故や、宇宙船の大気圏突入事故にも、絡んでいるかもしれないという進行。

ただ、発想の大元になっているのは、東洋人からすれば、ある程度は理解できるかもしれない『気功』とも感じた。言い換えれば『オーラ』である。

確かに、目に見えざるもの、つまり「非合理的」なものは西洋人にはミステリアスと映るのであろう。そういう存在を信じるか信じないかは、個人の価値観だが、一説によると、かなり強い『気』を操れる人間も存在するのだとか。

そして、そういった人間が行き着くところは『宗教』だとも言われている。なるほど、本作でも、どこか宗教がかったところもある。

教会に掛っているキリスト像や、仏教画にしろ、後方に光が射しているものもあり、それこそが『オーラ』だと論じる人もいる。

作品自体は、当時、流行だった「エクソシスト」(1973)や「オーメン」(1976)といったオカルト映画と同類と見て間違いないジャンルであろうか。

確かに「オーメン」では、その手の映画には珍しいグレゴリー・ペックや、本作にも出演しているリー・レミックと、当時、らしからぬ俳優の起用が目立ったが、本作ではリノ・ヴァンチュラかと驚いた。

映画自体の存在は知ってはいたが、日本では劇場公開されてないので、興味がありながら未見のままだった。なのでDVD化された時は、小躍りして喜んだ。

それゆえか、興味深く見て行けた。謎解きのミステリーから、特撮を活用したスペクタクル・パニック場面ありと、時代性は感じるものの、欲張った展開にして、最後まで見させ続ける、中々、どうして拾い物だった。

余談雑談 2011年4月23日
先立ての夜。 実家から戻ると留守電が入っていた。相手は、千葉県松戸にある墓地の管理を依頼している植木屋さん。『地震で、お墓の修理の必要性があります』 毎年、春と秋の『お彼岸』には、墓参を欠かさないのだが、先月は、震災直後でもあり、もう少し落