ゴールデン・ウィークも終りである。
震災の影響で外出が懸念されていたが、自分が住む下町の繁華街を含め、ヒョイと出向いた銀座や渋谷は、人が多く出ていた。流れる空気は違う気がしたが、以前のような賑わいではあった。
そんな黄金週間中、有楽町で開催された「イタリア映画祭2011」で、友人の御招待により、三作品を見ることが出来た。持つべきもは友である。
イタリア統一150周年を記念して作られた3時間近い大作「われわれは信じていた」。架空の人物三人が、歴史に翻弄されていく内容であるが、統一の30年前から始まるので、当時のイタリアの状況をある程度は知らないと混乱する内容。こちらでいう幕末から明治にかけての話と同じく、その国の人間ならば、当然、知っているであろう歴史がベース。当然、不勉強な自分としては、「?」が付くことが多かった。
次は「もう一度キスを」という作品。10年前に製作された「最後のキス」の続編。40歳の不惑の年を迎えた5人の男性仲間。それぞれが離婚や不妊、鬱病、服役というドラマを抱え、それぞれに女性や子供たちが絡むという話だが、コメディ要素もあるが、どうにも、各々が身勝手な感じだし、更に神経質な展開で、気が滅入った。
もう一本は、素晴らしかった。タイトルは「はじめての大切なもの」。美人だが、少々単純な母親に翻弄される家族の話で、往年のバイタリティ溢れるイタリア喜劇であり、しかもシニカル。
映画祭の上映だけでは、もったいない。この映画は、ひと言ふた言で片付けられないし、多くの人に見てもらいたいので、どこかの心ある配給会社が買い付け、一般公開してくれないだろうか。