荒鷲の要塞 – WHERE EAGLES DARE(1968年)

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スタッフ

監督: ブライアン・G・ハットン
製作: ジェリー・ガーシュイン、エリオット・カストナー
脚本: アリステア・マクリーン
撮影: アーサー・イベットソン
音楽: ロン・グッドウィン

キャスト

スミス少佐 / リチャード・バートン
シェイファー中尉 / クリント・イーストウッド
マリー / メリー・ユーア
ローランド提督 / マイケル・ホーデン
ターナー大佐 / パトリック・ワイマーク
ジョーンズ / ロバート・ビーティ
クラマー大佐 / アントン・デファリング
クリスチャンセン / ドナルド・ヒューストン
ハイジ / イングリット・ピット

日本公開: 1968年
製作国: アメリカ ウィンカスト・フィルム作品
配給: MGM


あらすじとコメント

今回もリチャード・バートン主演作。だが、少し目先を変えて戦争モノにしてみた。戦争映画出演も多いが、その中でも興味深い作品。

ドイツ、南部のババーリア。劣勢だった連合軍が反撃に転じようとしていた時期。

スミス少佐(リチャー ド・バートン)率いる7名のイギリス軍特殊部隊が、夜陰に乗じて雪深い山中に降下した。しかし、通信兵が首の骨を折って死亡。幸先が悪いと苦虫を噛み潰すアメリカ軍レンジャー部隊から参加のシェイファー中尉(クリント・イーストウッド)。

彼らの使命は、数日前に捕まった、欧州上陸作戦の鍵を握るアメリカの将軍を『鷲の城』と呼ばれる難攻不落の城塞から救出することだった。

しかし、彼らとは別に、同じ輸送機から、もうひとり、女性も降下していた・・・

騙し合いのサスペンスとアクションが融合した戦争スペクタクル巨編。

原作と脚本を手掛けたのはイギリスのベストセラー作家アリステア・マクリーン。「ナバロンの要塞」(1961)から「八点鐘が鳴るとき」(1971)など、「一難去ってまた一難」が連続する冒険スペクタクルを書かせたら見事な手腕を発揮する人物。

本作も然り。「ナバロンの要塞」よろしく、七人のプロ部隊が活躍すると見せかける。だが、誰がどんな特技を持っているのかとか、軟禁場所が難攻不落の城塞ということだけは解っているが、どのような作戦で決行するのかという説明的なシーンは全部端折られる冒頭。

そして、いきなり仲間内から死者がでるが、それが事故死でなく殺された可能性があると描かれる。まさにミステリー・タッチで幕を開ける。

観客には進行が一切知らされず、特攻隊員同様、城塞にしろ、麓の町にしろ、初めて現物を見るという展開にして、次々と難関が立ちはだかる。しかも、隊員の中に裏切り者が入るかもしれないし、どうやら監禁されているアメリカの将軍もいわくがある。

一体、真の目的とは何なのか。そこに持ってきて、謎の美女やら、いかにも冷徹そうなゲシュタポ将校、底冷えのする元看護婦のナチスの女将校といったバラエティに富んだ人物が、次々と絡んでくる。

そして、次々と起きる派手なアクション・シーン。捕まったり逃げたりを繰り返し、段々と目的に辿り着くかと思いきや、それをも裏切る別な展開がまた、連続するという息をも付かせぬ展開が待ち受ける。

ストーリィは、いかにもイギリスらしい冒険小説の王道を行き、抜群に面白い。だが、監督であるブライアン・G・ハットンの二転三転するストーリィの間に挿入する派手なアクションとの繋ぎなどで、力量不足が露呈し、冗漫な印象を与えているのが残念。

オリジナルはイギリス人によるものだし、往年のイギリス映画ファンである自分が見ると、このシーンは、そうじゃなくて、こうやって撮って、とか突っ込みを入れたくなる。

特に派手な爆破シーンなどは、いかにもアメリカ映画っぽい演出と編集なのだが、静かにサスペンスを盛上げる場面など、どうしても、ヒッチコックやキャロル・リードらに比べるとアメリカ的大雑把さが鼻に付くのだ。そこに原作の真意を汲み取れないアメリカ映画的派手さばかりが目に付く。

ある意味、もったいないと感じた。しかし、アメリカ映画を見慣れた人間からすれば、充分に迫力満点であり、意外性のある筋運びだろう。

それに、大作であるのだが、主役のバートン以外は見慣れない俳優たちばかりだし、イーストウッドの扱いも不自然さを感じた。それもそのはず、オリジナルと映画自体では、ラストのバートンの処遇が違うのだ。

最後の一番美味しい役どころはイーストウッドであったのに、息子だか、エリザベス・テイラーだか、「バートンはスーパーマンで良いのよ」と言ったから変更になったとか。

ハットン監督もイーストウッドも忸怩たる思いがあったに違いない。そういった、どこか中途半端さが残る大作。

ストーリ自体は絶妙に面白いだけに、その点が残念だと感じる。

余談雑談 2011年5月14日
天気予報の一部が「花粉症」から「紫外線」情報に変わった。東京も、春から夏への変動期からか、天気や気温が落ち着かない。 それでも、酒は欠かさぬ自分。で、いつもは散歩がてら徒歩で向かう店。震災後もポツリポツリと顔は出していた。 その日は強雨だっ