5月の「イタリア映画祭」に続き、映画好きの友人のご招待により「フランス映画祭2011」で3本ほど鑑賞。
「Chantrapas(原)」独特のユルい作風で、個人的に好きな監督オタール・イオセリアーニによる新作。旧ソ連統治下のグルジアで国策映画を命令されながら作家の個性を優先させ、当局に眼を付けられた挙句、パリに逃亡し、そこでも映画を作るが、また作家としてパラドックスに陥ってしまう青年監督を描く、自伝的要素の強い作品。映画そのものよりも、上映後の監督による質疑応答が興味深かった。
「匿名レンアイ相談所」天才的才能を持つ女性チョコ職人と小さなチョコレート工場を経営する中年男が恋に落ちるのだが、お互いが極度の「対人上がり症」で、上手く表現が出来ないというコメディ。笑える画面もあるが、どこかハリウッドに傾倒していて、スノッブとか、エスプリといったフランス映画らしさが足りないと感じた。
「マムート」ジェラール・ドパルデュー主演作。定年を迎え、年金申請の為に以前働いた全ての会社の就業証明書が必要となり、書類を揃えるために旧式の大型バイクでひとり旅に出る男の自分探し。アメリカン・ニュー・シネマで散々、使われた内容で、目新しさもなく、逆にフランス人気質を入れたために、却って混迷し、散漫になった残念作。
それにしても、自宅では古いイギリス映画のDVD三昧、それにイタリア、フランスと映画祭で、このところ、妙にヨーロッパの映画ばかり見ている。しかも上映後、友人と行った居酒屋はガード下のいかにもの店だが、何故かイギリス人が「主人」として働いていた。客も外人グループが目立ち、完全なる日本の店ながら、奇妙な雰囲気だった。
旅行に行けない分、映画と周囲の外人で旅している気分に浸るしかないのかね。