余談雑談 2011年11月26日

噺家の立川談志が死んだ。

自分など、映画ばかりで、落語をほとんど聞いてこなかったが、それでも型破りな御仁という印象はあった。

様々な情報番組で追悼的な特集が組まれているが、個人的に、直接、父から聞いた話がある。

彼が参議院選挙に出たとき、選挙カーの燃料を祖父と父が経営していたガソリン・スタンドで掛売りで購入してたが、相当に支払いが悪かったと嘆いていた。業を煮やし、裁判へと言ったら、やっと全額を支払ってもらえたと。しかし、これは彼の所為ではなかろう。

確かに、商人には『洒落』にはならぬ。それでも個人的には惹かれるものがあった。

そのひとつは、かつて談志と並び「落語四天王」と呼ばれた春風亭柳朝の葬儀でのことを吉川潮著『江戸前の男』で読んだ時のことである。談志流のお悔やみに、柳朝の愛弟子、春風亭小朝が、涙し、深々と最敬礼したと。彼自身の逝去に伴い、思い出した。

そして、彼の弟子である立川談笑が、朝の情報生番組に出演していた時のこと。涙を必死に堪え、淡々とコメントをしている姿に、いつ、泣きだすだろうかとハラハラして見ていた。

それを見て、今度は浅草出身の芸人、ビートたけしが、師匠深見千三郎の訃報に接し、たったひとり、そっと壁に向かい、タップを踏んだという話を思い出した。

何とか、涙を見せずに受け答えをした、談笑は最後に、見事なる「サゲ」を言った。スタジオ中が大爆笑になり、こちらも『お見事』と膝を叩いたが、同時に涙が溢れた。

談志が言っていた「人間の業」と、芸人としての「性」というか、心意気にである。

世間では、以前ほどの人気はないものの、じっくり「落語」が聞いてみたくなった。

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