待っていたDVDがイタリアから到着した。しかも3回に分けての到着である。それでも、送料は一回分のみであり、また、少し安心してたのは、発送元がイタリアでなくドイツであったこと。
先ず、見てみたのが「十二人の怒れる男」。これは、思い入れの強い作品で、当時、TV放映された吹替え版をカセットに録音し、ガリ版で原稿に起こし、高校の文化祭で上演したので、幸いにも大体の台詞を覚えていた。届いたのは、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の吹替え付き。その殆どが当時の吹替え版で、まったくどの言語も解らぬのに、妙に嬉しかった。
中でも、一番気に入ったのは、フランス語版。実はオリジナルの英語版よりも、イメージに合っていた印象である。ちなみに国内版でも日本語吹替え版が入っているが、カセットに録音したものはそれ以前の小山田宗徳バージョン。そのイメージに近かった。
それ以外に、一番興味があったのが「黒沢明ボックス・セット」。
「七人の侍」、「蜘蛛の巣城」、「用心棒」、「生きる」の4作品に、特典映像集付き。ところが、すべてが新録音で、しかも全作声優が違っていて混乱した。余計な効果音まで入り、妙にクリア過ぎるし、イメージも合ってない。その上、特典映像は訳知り顔のイタリア人が虚無僧の格好をして「禅」を説いたり、剣道着を着た御仁が「武士道」を伝授している内容。ある意味、イタリア語が解らなくて良かった。
しかし、とても感動した特典もあった。それは、30年前にイタリアのシネマティークで見た、インターナショナル版「七人の侍」が入っていたこと。映像も雨が降り、雑音も多いが、それこそが自分が見たそのもの。吹替えも当時のもので、お見事である。
一挙にタイム・スリップし、涙さへ浮かんだ。やはり、何事もレストアしないのが好きだなと実感した次第。