どうやら眼下の桜が満開である。寒さで開花が遅れたり、爆弾低気圧に襲われたりと、自然界の怒りを感じるが、それでも桜は咲く。
既に花見の酔客たちも見受けるが、夜明け時など静かで、見事に美しい。この淡い色に、何を重ねるか。
メリハリの少ない、微妙な色彩のトーンに人生を見るか、それとも、見事な散り際に、最近は随分といなくなった日本人としての美学を重ねるか。
どの道、中途半端な自分など、どれにも当てはまらぬ。何せ座右の銘は『ケ・セラ・セラ』。
なので、入院保険金もまだなのに、先走ることにした。何てことない、旅心を優先させたのだ。
今回は、沖縄本島と石垣島。しかも石垣島は初めてである。あの碧い海が呼んでいる、と勝手に思い込んだだけなのだが。
ところがどうだ。こちらが行く、ちょうどその時期にどこぞの国が花火を打ち上げるという。しかも、沖縄、石垣上空を通過とか。
なるほど、これがケ・セラ・セラね。まあ、見事に散るのは、自分ではなく、花火の方であって欲しいものだ。