『夏至』が過ぎた。
その晩、一度点灯したスカイツリーが不意に消灯した。ヘリコプターが上空を飛び、一体何事が起きたのかと思った。
何のことはない、『夏至』という、夜が一番短いタイミングで、節電への協力とかで、他にも、東京の主要スポットが消灯したのだ。
しかし、そんなことを知らないまま、夜空にそびえる最長電波塔を見に来た、屋形船の乗船客たちは、さぞや落胆しただろう。その時、自分の部屋からは、川面に浮かぶ船の照明ばかりが目立ったのは、別な意味で、お慰みだろうか。
これから日暮れは早くなる一方だ。子供の頃、盛夏は夕暮れも明るいと感じていたが、そうではなく、8月など、思いの外、早く暮れることを会得したのは、いつだったであろうか。
で、人生の「夏至」はいつか、と考えた。平均寿命だと、男性79.64歳だとか。すると半分だと40歳直前。しかし、人生の「折り返し」というと50歳という人も多い。それは都合良すぎるだろうか。
自分の気持ちと違う、いわゆるタイムラグの類か。季節のように、半年もすれば、また陽が長くなるという訳にはいかないよな。
梅雨の時期、曇りがちの日中から、不意に訪れる夕焼け。
「黄昏」。味わい深いが、怖い言葉だ。