夏休みも終盤。あちらこちらで、大小様々なイベントが行われている。
つい先立て、対岸の川に面した広場で小さなコンサートが行われた。
珍しく橋を渡ってフラフラと出掛けた。何故なら、出演者のひとりに興味があったから。
なぎら健壱。トボケた味わいで、時折、TVで見かけるが、銀座出身で下町大好きを自称し、軽妙なトークが、以前から好きだった。
ほんの20分程度の無料ライブであり、観客もわずかであった。大正、昭和の戯れ歌というか、流行歌を2曲。最後に自分の歌で〆たが、どれも、なくなった当たり前の東京の風景を盛り込んだ歌であり、『業平』という歌詞が出てきたときは失笑した。
会場から直近の駅名であったが、現在は名称変更している。「とうきょうスカイツリー駅」である。
これは辛辣だと思った。別な歌では、『常磐線の終点、北千住で降りて』なんて歌もあり、若い観衆は口を開けるばかり。
彼の後ろは隅田川であり、屋形船が通過する。トークの最中に地名や店名が度々登場し、一々、その方面を指でさすのだが、見事に合っている。それも流石だと思った。
愉しいひとときであった。大規模開発だと東京は変わると実感するが、角の靴屋とか、横丁の八百屋がポツリ、ポツリとなくなると、思い出せなくなる。
身に沁みる言葉であった。帰りの橋の上では、少しだけ涼風が吹いていた。
夏も終わりか。