恐怖の48時間 – RAGE (1966年)

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スタッフ
監督:ジルベルト・ガズコン
製作:リチャード・ゴールドストーン
脚本:フェルナンド・メンデス、テディ・シャーマン、G・ガズゴン
撮影:ロザリノ・ソラーノ
音楽:グスターヴォ・シーザー・カリオン

キャスト
ルーベン / グレン・フォード
パルラ / ステラ・スティーヴンス
パンチョ / デヴィッド・レイノッソ
アントニオ / アルマンド・シルヴェストリ
ブランカ / アリアドーナ・ヴェルテル
フォルチュナート / ホセ・エリアス・モレノ
マリア / ダーシャ・ゴンザレス
老人 / パンチョ・コルドヴァ
バス運転手 / デヴィッド・シルヴァ

日本公開: 1968年
製作国: アメリカ、メキシコ C・ファリスコ・プロ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

引き続きグラン・フォード主演作。今回はメキシコの山奥で起きる事件を描くサスペンス人間ドラマ。

メキシコ、中西部の山岳地帯。採石場がある小さな町に、たったひとりの医師ルーベン(グレン・フォード)がいた。彼は、妻子を交通事故で亡くし、それが自分の所為だと思い込み、アルコール依存症になっていた。腕に覚えはあるものの、ある臨月の妊婦が、帝王切開でないと出産不可能だと知ると、自分では手術できないと逃げ腰になる始末。

ある日、町に『一夜興行』の名目で、ショーガールたちがやって来た。しかし、実態は、売春婦の集団であった。その中にいたパルラ(ステラ・スティーヴンス)は、ルーベンに一目惚れしてしまう。だが、彼は、妻子の思い出に浸って生きているだけで、彼女を相手にしない。

そんな時、採石場の男が発狂する事件が起きる。ルーベンは、その男を一目見て診断を下した。狂犬病の末期症状であると。もしかして、感染源は自分の飼犬の可能性もあると不安が過ぎる。

そして、自分も今朝ほど噛まれた、と・・・

サービス精神に満ちた展開を見せる娯楽作。

妻子を亡くし自棄になっているアル中の医者。メキシコの砂と岩しかない山岳地帯の寒村。いかにもB級感漂う設定にして、どこかTVム-ヴィーのような色調。まったく予算をかけてない感じがする冒頭。

そこに少し頭が弱そうだが、純真で爛漫な売春婦が登場してきて「負け犬」同士の色恋が発生するだけなら問題外である。しかし、発生するのは「狂犬病」である。

しかも自分が感染している疑いもある。そうなれば、逆算して48時間以内に血清を打たなければ、自分も発狂して死ぬ。しかし、血清は中部の都市まで行かないとないのだ。

そこで手術を拒否し、専門医を紹介すると逃げていた妊婦が産気付く。当然、亭主は力付くでも山中の一軒家へ主人公を連れて行こうとする。そんなことをしていれば時間のロスなのに。

そこから、次々と主人公に難関が立ちはだかってくる展開。そして途中退場したはずの売春婦が、またもや絡んでくるのだ。

設定自体にオリジナリティはなく、どこかで見聞きしたアイディアの流用のみの脚本。そして演出もメリハリを上手く付けられず編集もモタ付く。

確かに、この手の作品の定番である、峡谷の崩れかけた木橋でのサスペンスや、主人公たちが乗っているジープに度々起きるトラブルと、一応連続して事件が起きるのだが、どうにもすべてが中途半端。

そもそも脚本の設定が乱暴すぎる。狂犬病の説明や、アル中で手術など何年もしてない医師の帝王切開での手術。しかも、出産直後の女性が亭主に、世話になった医師を助けるべく都市まで送って行けと命じたりと、ありえない設定の連続で鼻に付く。

どうにも、こんなサスペンス場面を力込めて描きたいという監督の単なるワガママのような展開。例えば、肩の力の抜けたベテラン監督の味とかでもなく、初めから力の入れ方を知らない連中が作った、まるで学生映画に毛が生えたような作品。

粗製乱造作を平気で大作として公開していた当時の日本の配給会社でも、流石に大都市での劇場公開を見送った作品。

もうひとひねりしたら、そこそこ面白い作品になったであろうにと、見ながらずっと思い続けてた残念な映画の一本。

余談雑談 2012年9月22日
つい先日のこと。 天気の急変に注意との予報があり、夜明け前から激しい雷雨があった。それでも朝から実家のタバコ屋に行き、夕方帰宅したときのこと。 何と、キッチン上部から、また漏水していた。丁度、一年前に同じ場所から漏水したばかりで、塗り替えて