スタッフ
監督:ジョージ・マーシャル
製作:ウィリアム・ホークス
原作:ウィリアム・チェンバレン
脚本:ウィリアム・ボワーズ
撮影:ジョージ・J・フェルシー
キャスト
サヴェージ曹長 / フレン・フォード
ダービィ伍長 / レッド・バトンズ
シモンヌ / タイナ・エルグ
セラーズ伍長 / ディーン・ジョーンズ
レーン準将 / ケント・スミス
ハッチマイヤー / ティージ・アンドリュー
クレイトン少尉 / ジョン・ワイルダー
米軍兵士 / ラルフ・ヴォートリアン
ジープ運転手 / バリー・ケーヒル
日本公開: 1958年
製作国: MGM作品
配給: MGM
あらすじとコメント
今回もグレン・フォード。西部劇からフィルム・ノワールと扱ってきたが、今回は眼先を少し変えて戦争映画。しかもコメディ。
フランス。第二次大戦末期のこと。ドイツ軍の反攻に遭い、散り散りになった米軍のとある部隊があった。部隊の指揮官レーン準将は、態勢を立て直すべくサヴェージ曹長(グレン・フォード)とダービィ伍長(レッド・バトンズ)と共に偵察中、一軒の農家を見つけた。準将は、そこを前線司令部にし、反撃の態勢を整えようと決定。
敵がいないかと用心しながら近付くと、中から音楽が聞こえてきた。銃を構えて突入するサヴェージ。だが、中にいたのは、何と入浴中のシモンヌ(タイナ・エルグ)というそこの娘だった。そんな彼女は男勝りの性格で、闖入者のサヴェージを罵倒する始末。しかも英語が話せないのでフランス語で捲し立てた。閉口するサヴェージだが、準将の通訳で、家族は後方に避難したが、彼女だけが居残っていると知り、交渉の結果、暫く滞在と相成る。
だが、すぐにドイツ軍の攻撃を受け、何と准将は戦死してしまう。これでは指揮系統は混乱し、態勢を立て直すことさえ覚束ない。部隊は、新兵や他での生き残りの寄せ集めで、準将を知っている兵士も少ないという状況でもあった。しばらく準将のヘルメットを眺めて考え込んでいたサヴェージの顔を見て、驚くダービィ。伍長にはサヴェージの気持ちが理解できたからだ。
「そんな無茶な」・・・
ベテラン下士官が身分を偽り、英雄的活躍をする戦争コメディ。
バレれば当然軍法会議という身分詐称。しかし、そうでもしなければ部隊は全滅してしまう。
気が良い仲間の伍長は仕方なく口裏を合わせようと同意。残るは、じゃじゃ馬の農家の娘。しかも言葉は通じない。
そこで起きるトラブルに始まり、散り散りになった兵士を見つけては、鼓舞し、自らが陣頭指揮を執り、敵を撃破して行く。
何ともユルく、ご都合主義に満ちた展開。流石に時代を感じさせるコメディではある。しかも、更には、主人公の所為で一兵士に格下げさせられた元軍曹が登場して来て、主人公に再会したら、ぶっ殺してやると息巻く。彼に遭えば、間違いなく身分詐称が見破られ、今度は自分が軍法会議である。
つまり、その元軍曹には見つからないようし、他の兵士たちには奮闘させなければならない。しかも、元軍曹は農家の娘を見染めてしまい、ことある毎に、その農家に来るようになる。
さてさて、どうなるのか。とはいっても、やっぱりコメディである。超人的活躍をし続け、ホンモノの将軍らしくなって行く主人公とオロオロと心配しつつ翻弄される仲間とマイペースなフランス娘。
そこにある程度メリハリがついたアクション場面が挿入されるという、ある種、王道の展開。
出演陣では、段々と将軍に見えて来るグレン・フォードも手堅く、勝気な娘役のタイナ・エルグも何度も入浴シーンでお色気をふりまき微笑ましいが、何と言っても、仲間役のレッド・バトンズが絶妙のコメディ・リリーフで上手い。
小柄で、どこかお調子者という役回りが多い印象である。特に、この当時は、下っ端の兵士役が多く、「史上最大の作戦」(1962)ではパラシュートが教会の塔に引っ掛かり、一晩中宙吊りになる兵士役や、以前ここでも扱った、地味な小品ながらも捨てがたい佳作「渚のたたかい」(1965)で、学歴がなく、捕虜にした元小学校校長の人格者であるドイツ軍将校に感化されていく役どころなど、印象に残る役者である。
しかもマーロン・ブランド主演の日本を舞台にした摩訶不思議なラブ・ロマンス「サヨナラ」(1957)では、日本人女性と結婚する米軍兵士役でアカデミー助演男優賞を受けた実力派でもある。
何てことない本作でも、彼の所為で多少、引き締まった印象を受けた。
大味なコメディだが、ゴロンと寝っ転がって見るには最適の作品か。