スタッフ
監督:ジョン・ギラーミン
製作:アーウィン・アレン
脚本:スターリング・シリファント
撮影:フレッド・J・ケーネカンプ
音楽:ジョン・ウィリアムス
キャスト
オハラハン / スティーヴ・マックィーン
ロバーツ / ポール・ニューマン
ダンカン / ウィリアム・ホールデン
スーザン / フェイ・ダナウェイ
クレイボーン / フレッド・アステア
シモンズ / リチャード・チェンバレン
リゾレット / ジェニファー・ジョーンズ
パーカー上院議員 / ロバート・ヴォーン
ビグロー / ロバート・ワグナー
日本公開: 1975年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス ワーナー作品
配給: ワーナー・ブラザース
あらすじとコメント
今回もパニック映画にした。数多く作られたジャンルだが、ある意味、金字塔として君臨する大作中の大作にして、個人的には、本作こそが最後の超大作映画と位置付ける作品。
アメリカ、サン・フランシスコ。世界最高層の138階建ての「グラス・タワー」が完成した。設計者のロバーツ(ポール・ニューマン)は、砂漠からやって来て、建築主でビル・オーナーのダンカン(ウィリアム・ホールデン)の出迎えを受けた。
だが、かなりの突貫工事をしていて、不安材料もあった。それでも、今夜は上院議員や市長を筆頭に、セレブが招待されての盛大な開業祝賀パーティーが予定されていた。そんな派手な行事は好まないロバーツだが、キャリア・ウーマンの恋人スーザン(フェイ・ダナウェイ)との再会は喜んだ。
ところが、工事部長でダンカンの娘婿シモンズの手抜き工事から電線がショートし、ボヤ騒ぎが起きる。自分が指定した工事が行われていないことに立腹するロバーツ。
このまま全館点灯すれば、火災が起きると、すぐにレセプションを中止せよとダンカンに詰め寄るが、傲慢なダンカンは当然、拒否。
夜になり、いよいよ全館点灯し、135階で盛大なパーティーが始まったが・・・
これぞデザスター・パニック映画の最高峰と呼べる作品。
手抜き工事から大火災が起きるという、単純な内容ながら、これこそが、正に「世紀の巨編」と呼びうる超大作でもある。
あまりにも制作費がかさみ、ハリウッドのメジャー映画会社一社では捻出できないと、20世紀フォックスとワーナーがタッグを組んだ歴史的作品。
とはいうものの、実は二社とも別なビル火災の小説を映画化しようと企画していたが、どうせなら一緒に作れば「超巨編」が作れると判断したからだが。
だからか、当時、人気絶頂で、絶対に共演などしないと思われていたスティ-ヴ・マックィーンとポール・ニューマンという大スターが共演したのだから、更に驚いた。
ただ、かなり気を遣った模様で、ポスターでの二大スターの並び位置も熟考され、本来左側のマックィーンが格上の位置なのだが、右のニューマンの方がやや上方に来るといったポジショニング。
それは本編でも遺憾なく発揮され、前半はほぼ、ニューマンの独壇場で、後半はマックィーンが掻っ攫って行くという進行なのは仕方ない。
もしかしたら、出ている場面のアップの度合いや出演分数まで同じではないかとも思われる。
だが、どうしても本作はマックィーンの映画である。それは、本来なら悪役として描かれる設計技師役がニューマンだし、かなり無理して別な人物を悪役に仕上げるしかなかったからだ。
しかし、その悪の親分である社長がウィリアム・ホールデンと来ては、これも極悪人には描けない。
という、かなり無理な設定もあるが、それは、本当に、これぞオールスターと呼べる俳優が出演しているからだろう。
しかも、カメオ出演やチョイ役ということではなく、それぞれが重要な役どころを演じ、かなり出ずっぱりで共演してる場面が多いのだから驚いた。
確かに、製作費を掛けたという大作なら本作後もあるが、これだけの『客を呼べる』役者を揃えたのは、第二次大戦後に発表された作品では、他に類を見ない。
しかも現在と違い、VFX技術も進歩しておらず、パーティー・ホールを含むビル自体のセットを実物大で5階分を建て、全景で見せるために建てられた模型は実に32メートルであった。
今見ると、どこかチャチに見えるが、それは現実には窓ガラス一枚割らずにビル爆発のシーンが撮れる技術に慣れ過ぎた所為であろう。
確かにストーリィや進行に疑問符が付くところもあるが、「映画」とはこれ。「娯楽」とは、まさにこれだと呼べる作品ではある。
でもな、ラストで、生き残った人間たちが地上に降りて来た場面では、あれだけの水が落下したのに、雨が降った程度の被害なんだよな。