晩秋というよりも、冬の気配の東京。四季の概念が変わりつつあるとも思う。
どの道、来週は『酉の市』である。これが来ると、年末の足音だと感じ、矢鱈と寒いという印象があった。しかし、昔のような寒さを感じない。これも季節感の変化ということだろうか。
酉の市が行われる、竜泉の鳳神社であるが、日頃は閑散としている。だが、このときだけは、凄い人出となる。
つい先日、徒歩で酒場に向かうため、神社の前を通った。既に、準備が始まっていた。
実はその前に、もう、そうは呼べない、『六区興行街』をわざと通った。記憶違いで、最後に閉った映画館は4館でなく、5館であった。
既に、ポスター等もはがされ、閉館の挨拶が書かれた紙を淋しげに見つめる方もいて、且つ、一帯が閑散としていて、泣けた。
その近所で飲食店を営む知人に尋いたら、最終日の晩は、最後の一枚のシャッターが閉じられた時に、静かに泣いていた老人がいたそうだ。
飲食店の方は、噂話だがと、跡地がパチンコ屋になるとも言っていた。その他にボーリング場建設の可能性もあるとか。
大劇場だった「浅草大勝館」は、当時、ボーリング場に取って代わった。しかし、ボーリング・ブームはすぐに去り、小さな映画館が二館入ったり、最後は大衆演劇場になった。そこは現在、建て直され、今度は「激安の殿堂」ドン・キホ─テになる。
新たなる娯楽の殿堂街なり、客寄せ観光スポットへと変貌する浅草。だが、『六区興行街』に様々な想い出を持つ身としては泣きたい気分だ。
我慢しろか、自室の天井も同じだしな。