ダンテズ・ピーク – DANTE’S PEAK (1997年)

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スタッフ
監督:ロジャー・ドナルドソン
製作:ゲイル・アン・ハート、J・M・シンガー
脚本:レスリー・ボーエン
撮影:アンドレッチェ・バートコワク
音楽:ジョン・フリッツェル

キャスト
ドルトン / ピアース・ブロスナン
レイチェル / リンダ・ハミルトン
ドレイファス / チャールス・ハラハン
ローレン / ジェイミー・レニー・スミス
グラハム / ジェレミー・フォーリィ
ルース / エリザベス・ホフマン
グレッグ / グラント・ヘスロウ
ファーロン / カーク・ターナー
ナンシー / アラベッラ・フィールド

日本公開: 1997年
製作国: アメリカ ユニヴァーサル作品
配給: UIP


あらすじとコメント

今回もパニック映画にした。前回までが「第一期パニック映画」ブームの作品だったが、今回は、「第二期ブーム」の映画。VFX全盛の時代でイメージが違う作品が多いが、それでも好きな作品。

アメリカ、北西部で太平洋に面する場所。アメリカ地理調査隊の火山学者ドルトン(ピアース・ブロスナン)は、休火山である「ダンテズ・ピーク」の調査をするために麓の小さな町へやって来た。

そこでは長年小さな地震のような振動が起き続け、いつかは大地震が来ると言われていたが、町民たちには、どこ吹く風であった。だが、調査を進めていくと火山噴火の予兆が起きていることを突き止めるドルトン。すぐに政府筋に警告し、更なる増員を要請する一方で、シングル・マザーで町長のレイチェル(リンダ・ハミルトン)に避難協力を仰ぐ。

だが、その町は「全米で住みたい場所ナンバー2」に選ばれ、大金が動く様々な開発プロジェクトも進められていた。当然、街の住人たちは、彼の警告には耳を貸さない。それでも、住民らの命が最優先と決めたレイチェルは、公会堂に住民招集をかけた。渋々集まった住人からは、反対意見ばかり。

その時、大地震が起き、いよいよ噴火活動が始まって・・・

火山の大噴火というスペクタクルを背景に奔走する人間たちのドラマ。

ストーリィとしては、単純である。のどかな場所で、個人の経済的問題なり価値観があり、政府の対応の遅れから大災害へと発展し、どのように脱出していくのかという内容。

同じような意見を持つ方もいるとは思うが、この手のパニック映画は、内容は単純な方が、のめり込みやすいと感じる。『船が上下逆さまになる』とか『超高層ビルが炎上する』といった一言で表せる。

そして、その中に放り込まれる人間たちのドラマが交錯し、死ぬ者、生き残る者それぞれに肩入れしながら、迫力あるシーンに身を乗りだして行く。

ただし、「グランド・ホテル形式」の人間模様は、第一期にオール・スターで描かれたが、第二期は、VFXに予算が掛かり過ぎるので、大スターたちの共演というのは少ない。

本作も然り。俳優だけで客が呼べる時代も終り、それよりは、迫力ある災害シーンにばかり力点が集約される。

これはこれで時代の流れであり、以前では、表現できなかった迫力ある場面が、実物大のセットなりの一部が再現された中で展開される。

しかし、本作では、豪華客船やビルというセットはでてこない。

何故なら大自然が背景となるので、ほぼ、ロケで済む。しかも、個人的に、この作品をチョイスしたのはコンピューターが主役のCGではなく、昔懐かしいミニチュアとの合成がメインだから。

チャチといえばそれまでだが、「手造り感」が伝わり、どこか「温もり」を感じさせてくれる。それでも、往年の日本映画よりは、ふんだんに予算がかかっているし、時代性を加味したVFXも使用され、眼を瞠る。

特に中盤の噴火シーンからのアクション場面は、大スペクタクルという印象よりも、山小屋が丸焼けになったり、迫りくる溶岩も大規模ではなく描かれるので、逆に現実味がある。

しかも、たたみかけるように、大小様々なサスペンスが続き、編集の妙も相まって、手に汗を握って行く。

ミニチュアだからこそのチープ感と、映画としての妙な安心感が嗅ぎとれる立派な娯楽作と言えよう。

余談雑談 2012年11月3日
晩秋というよりも、冬の気配の東京。四季の概念が変わりつつあるとも思う。 どの道、来週は『酉の市』である。これが来ると、年末の足音だと感じ、矢鱈と寒いという印象があった。しかし、昔のような寒さを感じない。これも季節感の変化ということだろうか。