キャンベル渓谷の激斗 – CAMPBELL’S KINGDOM (1957年)

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スタッフ
監督:ラルフ・トーマス
製作:ベッティ・E・ボックス
脚本:ロビン・エストリッジ
撮影:アーネスト・スチュワード
音楽:クリフトン・パーカー

キャスト
キャンベル / ダーク・ボガード
モーガン / スタンリー・ベイカー
ブレーデン / マイケル・クレイグ
ジーン / バーバラ・マレー
マクドナルド / ジェームス・ロバートソン・ジャスティス
アビゲイル婦人 / アセーン・シーラー
クレーシー / ロバート・ブラウン
マック / ジョン・ローリー
クリフ / ゴードン・タナー

日本公開: 1958年
製作国: イギリス、アーサー・ランク作品
配給: 東和


あらすじとコメント

今回も「山」が舞台となる作品。前回の「ダンテズ・ピーク」(1997)のような噴火ではなく、別なスペクタクルである。ただ、派手さはなく、どちらかというとこじんまりとした作品。

カナダ、北部のカム・ラッキー。雪を頂くロッキー山脈間近の渓谷に『キャンベル王国』と呼ばれる場所があった。50年も前から、この地で石油採掘に心血を注いだキャンベル老人がひとりで、未だに出るとも解らない調査していた。

だが、その下流域でダム建設が開始された。あるともないとも解らぬ油田よりも、淋しい田舎町に莫大な経済効果を産むと踏んだからだ。そのダム建設を一手に引き受けているのが町の実力者モーガン(スタンリー・ベイカー)である。

そんな折、キャンベル老が急死してるのが見つかった。これでダム建設に支障が無くなったと、一挙に建設を推し進めようとするモーガン。町も俄かに活気付いた。そこに、見知らぬひとりの若者がやって来た。

彼は、ブルース(ダーク・ボガード)で、キャンベル老の孫であり、王国と呼ばれる土地の相続者であると。驚いたのはモーガンだ。彼は、老人には敬意を払ってきたが、よそ者には別だとばかり、脅しにかかった。

何故なら、その土地は、ダム湖の底に沈む場所だったからである・・・

ダム建設と油田採掘が並立する面白い着想のアクション作。

か弱そうで少し影のある若者。そんな主人公は、余命半年だと言い、転地療養を兼ねて、この地へやって来たという。

小さな町は、あくどいことを平気でするような男が牛耳っている。当然、軋轢が起こるが、主人公はある意味、捨て身だ。

孤立無援にも見えるが、それじゃ映画は面白くない。そこで、よそ者に理解者や協力者がでてくる。それは、町にひとつしかないホテルの娘や彼女の叔母、油田調査技師らである。ただし、腕っ節が強いとか、頭がベラボーに切れるという人々ではない。

先ず、そこに本作の底の浅さがみえる。ストーリィとしては、一刻も早くダムを完成させ、既成事実を作りたい実力者とあるともないとも知れない油田に賭ける主人公たちという構図で、様々な駆け引きや小さなアクションが繰り広げられる。

考えてみれば、「油田採掘」と「ダム建設」という、幾らでも派手な映画に出来る要素を、ことごとく、こじんまりと小さなアクションで繋いで行くので、些か、鼻白むのだが、途中から、石油採掘調査のエキスパートが登場してくるにつれて、アクションも尻上がりに派手になって行く。

そのエキスパートを演じているのが「謎の要人悠々逃亡」(1960)で、存在感を見せ付けた、太っていて、口ひげを蓄えたジェームス・ロバートソン・ジャスティスだから、妙に説得力がある。

しかも主人公とは違い、油田が見つかったら、幾らくれるのかと、金銭交渉から入るようなプロである。それまで主演のダーク・ボガートや悪役のスタンリー・ベイカーなど、どうにも少し線の細い感じがしていたが、中盤以降、中々盛り上っては来る。

ただし、監督のラルフ・トーマスがどうにもいただけない。「手堅い」といえば、褒めすぎだし、「肩の力が抜けた」演出なら、それなりに風情もあるが、始めから「肩に力が入っていない」印象なのである。

トーマス監督作品には、どれも同じ印象を受けるのだが、本作も然り。ただし、クライマックスには、今までの予算をここで一挙に使ったかというスペクタクル・シーンが登場してくる。

本作は、ワンコインでDVDが発売されたので、やっと見られた作品だが、無理して字幕ナシの海外盤を購入しなくてよかった、という印象。

何とも微妙な展開で冗漫ではあるのだが、単純にくだらない映画でもない。そこに何とも言えぬ、とはいっても、大したとは呼べない「魅力」がある作品。

余談雑談 2012年11月10日
浅草の北西に位置する鳳神社。そこで行われた『酉の市』に行ってきた。 「商売繁盛」や「幸をかき込む」という熊手を買い求めるためだ。とはいっても、路地裏のタバコ屋では、大した繁盛はないだろうが。 その日は、11月だというのに、気温が20℃もあり