余談雑談 2012年11月24日

自分の住むマンション直近にある「松屋デパート」が、つい先日、リニューアル・オープンした。

年末に向け、明るい話題なのだろう、連日TVでも報道がなされている。

歴史は古く、昭和6年建造だとか。サミュエル・フラー監督の「東京暗黒街 竹の家」(1955)で、アクション場面が撮影されたり、多くの日本映画でも登場した由緒ある建物。

ところが、テナントとして入っている松屋は大赤字で、一時期、全面撤退が噂された。それでも、2階の東武鉄道の駅ホーム部分を除いた、地下から3階フロアまでを残し、上階は、持ち主である東武に返却し、どこか細々と営業を続けていた。

傘下である最長電波塔で、弾みが付いたのであろう、ならばと東武側がテナントを募集してのリニューアル。なので、正確には松屋デパートではない。

そんな建物の通用口のある裏道を通って、毎朝、実家の煙草屋に向かう。以前は、出勤者も、搬入車も少なく、閑散としていたが、この一カ月は、急ピッチで進んだ仕上げ等で、早朝からごった返していた。これからは、さぞ出勤者も搬入車も増えることだろう。

それにしても、実際に、開業してみて驚いたのは、『新しもの好き』が多いこと。百貨店にしては、入店数の少ない食堂街は、開店時から行列が絶えない。当然、値段も安いはずもないのに、である。確かに、それぞれに付加価値を謳っているし、さもありなん、なのだろうが。

今後は、報道数に比例し、参集する人間も増加しよう。事実、裏側の自転車用の駐輪場まで、常に満車で、行列が出来ている程だ。この連休も、さぞ賑わうだろう。

それにしても、自分のビルの出入りや、実家への行き帰りなど、閉口至極である。

でも、文句は言うまい。何といっても、昭和20年の東京大空襲の際、父は、このビルに逃げ伸びて助かった。ほぼ、浅草は壊滅し、そこも炎上したものの一部だけ避難者が生き延びた建物だ。その中に父はいた。

そんな父が生きていたら、何と言っただろう。新しもの好きだったし、初モノの食べ物ではないが、東を向いて笑え、と言うか。

建物を正面から見れば、東には最長電波塔だしな。

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