重犯罪特捜班 ザ・セブン・アップス – THE SEVN-UPS (1973年)

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スタッフ
監督:フィリップ・ダントニ
製作:フィリップ・ダントニ
脚本:アルバート・ルーベン、アレクサンダー・ジェイコブス
撮影:アース・ファーラー
音楽:ドン・エリス

キャスト
バディ / ロイ・シャイダー
ヴィトー / トニー・ロー・ビアンコ
ボー / ビル・ヒックマン
ムーン / リチャード・リンチ
ケイリッシュ / ラリー・ヘインズ
バリリ / ヴィクター・アーノルド
ミンゴ / ルー・ボラン
アンセル / ケン・カーチェヴァル
トレダーノ / ジョー・スピネル

日本公開: 1974年
製作国: アメリカ F・ダントニ・プロ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

前回の「ギャング情報」(1962)でメインとして描かれたのが、刑事と情報提供者の関係。そこから連想したのが本作。ニュー・ヨークを舞台にした、カー・アクションが冴える刑事ドラマ。

アメリカ、ニュー・ヨーク。市警の中に『セブン・アップス』と呼ばれる、「刑期7年以上の重犯罪者」逮捕専門の特命チームがあった。リーダーはバディ(ロイ・シャイダー)で、他に3名の仲間。

今日は、市内の骨董店が偽札偽造団の連絡所であると内定したチームが、急襲をかけて、容疑者らを逮捕した。しかし、彼らの行き過ぎた捜査手段に異を唱える者もいたが、上司は彼らをかばった。

更に犯罪者を摘発すべくバディは、彼の幼馴染で、イタリア人地区で葬儀社を営むヴィトー(トニー・ロー・ビアンコ)と秘密裏にコンタクトを取った。何故なら彼はバディが抱える情報屋であったからだ。

そんなヴィトーは、調査中のマフィアの幹部コルテロの情報を持って来た・・・

型破りな刑事が、私情を交えて暴走するアクション刑事ドラマ。

犯人検挙のためには手段を選ばず、というか、敢えてことを大袈裟にする刑事チーム。

そんな彼らが、内定を続けているマフィア組織では、その幹部たちが、何者かから脅迫されるという、別な事件が進行している展開。

しかも、マフィアたちは、主人公らの特命チームが暴走して、自分らを脅迫していると思っている。

こうなると話は、ややこしくなると思うかもしれないが、さにあらず。割と早く、マフィア脅迫事件の真相が描かれるが、そこからチーム内に犠牲者がでてしまい、主人公の暴走が加速して行く。

本作で一番派手に描かれるのは、中盤に登場してくる、NYでの20分にも及ぶカー・アクション。初鑑賞の時、ふと、この設定と作劇は、見覚えがあると感じた。

それはスティーヴ・マックィーン主演の「ブリット」(1968)。考えれば、本作の監督であるフィリップ・ダントニは、「ブリット」の製作者であり、また、本作主演のロイ・シャイダーが助演し、ジーン・ハックマンがアカデミー主演男優賞を受賞した、本作同様、NYが舞台であり、同じく派手なカー・チェイスが登場する「フレンチ・コネクション」(1971)の制作もしている。

つまり、本作はダントニにとっての「三部作」という位置付けなのだろう。前2作は、別な監督に委ねたが、本作だけは、自らがメガホンを取った。

ということは本作こそ、彼のストレートな個性がでているということである。

タッチは、どちらかというとセミ・ドキュメンタリー的。ロケを多用し、俳優も有名どころは起用せず、地味目。更に、実際にNY市警の現職警官も出演させているという、こだわりぶり。

それが功を奏し、寒々しいニュー・ヨークの雰囲気を背景に、それぞれの人物たちの躍動感が上手く表現されていると感じた。

ストーリィの転がりよりも、登場人物たちの背景に腐心した作劇。クールそうでありながら、熱血漢という主人公の描き方や、幼馴染の情報屋のバック・ボーンといった、登場して来ない場面を想起させる手法にも砕身している。

しかし、そんなダントニが監督したのは本作一本のみである。以後は、また製作者に戻った。たった一本で納得するまで演出が出来たのだろうか。

ニュー・ヨークで生まれ育った監督が放った、たった一本の作品。

佳作とまでは呼び難いが、独特の雰囲気を伴う刑事ドラマである。

余談雑談 2013年2月16日
新しい飲み屋を探し続けている。 昨年末で閉った老夫婦のもつ焼き屋、開店一年と一寸で閉店した石窯ピッツァ屋。行きつけ、と呼べる店はもう何軒もない。 なので、新規開拓でもしなければと、存在だけは知っていた店に、意を決して行ってみた。「台湾料理」