暫く振りに、神田神保町へ行った。所用で近くまで出向いたので、どうせ暇だしとばかりに、ついでに足を伸ばしてみたのだ。
興味があったのは、映画関係専門の古書店。何軒が覗いてみたが、驚いたのは、以前よりも全体的に、価格が安くなっていたこと。ネット・オークションの所為だろうか。確かに、落札額は余程の貴重品でない限り、古書店値段よりも安価だと感じている。
それでも、あの古書独特のどこか埃っぽいというか、膨大な冊数が並んでいる場所に身を委ねているのは快感でもある。思わぬ発見もあるし、しばし時を忘れて立ち読みをする至福の時間。
それに、神保町はランチ天国でもある。自分も学生時代に通った場所であり、学生街であったことを考えると、値段とボリューム共に満足できる店が多い。
それでも昔からあった安い店が閉まり、カレー屋とかラーメン屋、チェーン店が増えた印象もある。そんな中、古くからあるのに知らなかった店を発見した。
時代を感じさせるものの、自分としては昭和でも、サイケ調が流行った40年代を感じさせるモダンな佇まいのフライ専門店。エビフライなど、アジフライのように二枚に開いて揚げてある。どうってことないドレッシングと、味の薄い白菜の味噌汁。だが、御飯だけは、これが普通盛りかと思わせる量。
それこそが、神保町界隈の味わいとも感じている。ただ、残念だったのは営業時間。11時半から14時半まで。当然、アルコールはない。
道路側の壁には、白いレースのカーテン。それ越しに射しこむ暖かな日差し。古本片手にビールを、という願望が疼く。
晴天の昼過ぎ、慌ただしく食して辞す人々の中、一体、何を考えているのだろうと、反省した次第。