一ヶ月ほど前か。老いた母の独居である実家のタバコ屋にいつも通り、朝、出向いたときのこと。
テレビの横に見慣れぬ小さな黒い機材が。母が言うには新しいDVDプレーヤーだと。古い機種が設置してあったが、ソフトもなく使用していた痕跡もないのに。誰かに貰ったのかとも思い、「あ、そう」程度で流した。
そうしたら、先立て、急にテレビ番組の録画のこと言いだした。デジタル放送になってから、自分の住む部屋では録画できる機材はないとは知っているが、今度から見たい番組があれば、録画できると切りだして来た。
不意の発言に、幾つもの疑問符が浮かび、遂にボケて来たのかと心配になった。すると、録画できるブルーレイを買ったと言うではないか。しかし、箱に入ったままで、配線や設置が解らず、誰に依頼しようかと。
自分が出来るかもしれないというと、急に笑顔になり、じゃ、これはいらないわね、と一か月前から存在していた、小さな機器の取り外しにかかった。
何と、それもブルーレイ再生専用プレーヤーだというではないか。安かったから買ったけど、録画できないので、途方に暮れた挙句、新機種を購入したのだと。
いい歳して衝動買いか。しかし、その機材は不要となる。ということは、遂に自室にもブルーレイが登場である。これで少しは、運も上向いたか。
内心、ほほ笑みながら、バーター取引ではないが、録画機能付きを設置してあげようとマニュアルを見せてもらった。ところが、時代に背を向け過ぎた所為で、チンプンカンプン。初めてPCを購入し、マニュアルを見たときと同じ衝撃と不安を感じた。
結局、誰かに依頼することに相成った。いらなくなったプレーヤーを頂戴とも言えず、帰路に付きながら、現行のどれを外してとか、安いテレビだから、裏側の入力端子が幾つあったとか、果たして、自室で簡単に接続できるかと不安になった。
で、出した結論。
それよりはベータのテープだよな。